- 日時
平成19年4月13日(金)16:00〜18:00
- 場所
国土交通省 11階特別会議室
- 出席者
<委員、臨時委員>(敬称略)
杉山武彦、松田英三、浅野正一郎、赤塚宏一、秋山昌廣、太田和博、岡部正彦、河野真理子、鈴木邦雄、藤澤洋二、山口公生
<オブザーバー>
JFEスチール(株)鈴木原料部長、(社)日本造船工業会寺門企画部部長、石油連盟山浦専務理事
<国土交通省>
冨士原康一海事局長ほか
- 主な議題
議題1.プレゼンテーション・前回の委員の意見のまとめについて
議題2.非常時等について
議題3.日本籍船・日本人船員の意義・必要性について
議題4.日本籍船の必要規模について
議題5.今後のスケジュールについて
- 議事概要
-
事務局から「プレゼンテーション・前回の委員の意見のまとめについて」「非常時等について」「日本籍船・日本人船員の意義・必要性について」「日本籍船の必要規模について」の説明がなされた。
これに対する委員からの主な意見、要望は次のとおり。
- 資料4において、水力発電のみに依存すれば現状の2%程度のエネルギーしか消費できないとあるが、原子力を準国産エネルギーと扱えば、16%程度になるはず。それを考慮した方が適切ではないか。
日本籍船、日本人船員の必要性は非常時の議論に尽きる。確かに船舶運航等に係るノウハウの維持も必要だが、これは海運会社が自ら取り組むべきことであり、税金を投入してやるほどのことではない。トン数標準税制を導入するためには、非常時における最低限の輸送水準を確保する必要性を訴えていくべき。
- 日本籍船は必要だが、平時の安定輸送を全て日本籍船で担うのは非現実的な話。便宜置籍船も含めた商船隊として安定輸送に貢献しており、平時の船隊整備も重要。この観点から海運に対する支援措置を考えると、緊急に対策が必要なものに強いインセンティブを与え、海運会社の自助努力を要請すべきものには金融措置等ソフトな支援を与えるようなレベル分けも一案。
- 資料4にある平成9年の答申における全日本海員組合の試算は、平時を前提として、日本人船・機長を配乗した際の試算であり、今回の非常時等を前提とした試算とは前提が異なる。日本籍船の必要規模を試算した上で、それとの関連で日本人船員の必要規模を考えるべき。
- 資料3の日本籍船及び日本人船員の意義・必要性において、船舶運航等に係るノウハウの維持という観点からの意義・必要性についての記述があるが、この記述の中で、海事教育機関についても触れてほしい。
- 日本のナショナル・ミニマムを計算する上で、非常時と有事を分ける必要はないのではないか。
また、船員の教育・養成システムや船員のライフワーク等についてビジョンを示さないと、必要な人材を確保できないのではないか。例えば、海上自衛隊の退職者について、外国人船員より能力が下であるとは思えないので、この人員を外航船員として活用するために、資格のあり方について議論してみてはどうか。
- 資料2の整理が、資料4の計算ではどのように踏まえられているのか整理してほしい。
- 非常時を念頭に置くと、量の確保が重要と考えるが、日本の自国籍船率、自国船員率について、現在、諸外国に比べてかなり低い水準となっているが、どれくらいの水準を確保すべきか何か目安となる数字があれば教えてほしい。
また、商船大学等の卒業者の新卒者が、実際どのくらい船員になるのか教えてほしい。
- イラン・イラク戦争、湾岸戦争等でのペルシャ湾からの原油輸送や、苫小牧地震の際の石油備蓄基地からの原油移送等の緊急時に、日本籍船・日本人船員が活躍しており、非常時には、日本籍船・日本人船員が必要となる。
- 日本人船員が、外国人船員によって海に投げられて死亡するという事件が起きたが、実際に処罰を決めるのは便宜置籍国であった。FOC船では主権が及ばないため、日本の主権が及ぶ日本籍船は重要。
- 外航海運業は、参入は自由、世界単一市場で競争するという業種である。現在、世界では自国海運育成策がとられており、世界の6割の国がトン数標準税制を導入しており、1割は無税。主要海運国でトン数標準税制を導入していない国は日本や中国ぐらいであり、邦船社は競争上著しく不利な状況にある。第1回国際海上輸送部会の資料における諸外国の高い自国籍船率・自国船員率は、諸外国の海運助成策の影響もある。日本においても、トン数標準税制等の海運助成策がとられなければ、邦船社は、外船社や投資ファンドにより買収されるおそれもある。
- 平時においても日本籍船・日本人船員は当然必要と考えられる。「質」を定量的に評価することは難しいが、重要である。「悪貨は良貨を駆逐する」と言うが、「質」は事故が起きてからわかる面がある。
外航海運の競争基盤が不平等であるのは問題。また、今までは円高基調だったので外国人船員を安く使えたが、このまま放っておいて、今後、円安に振れたとき、気がついたら日本人船員がいなくなっており、外国人船員もコストがかかるということもあり得る。船員の養成には時間がかかることを考えると、長期的視野からも、ある程度の日本籍船・日本人船員は確保することが必要。
- 現在の日本人船員は、大学を卒業し、船長に昇進していくという船舶職員がイメージされるが、ナショナル・セキュリティを念頭に置くならば、部員で頑張り続けてもらう人も必要ではないか。船社は部員を一定程度雇う意志はあるのか。
- 部員についても、部分的には採用している。しかしながら、オール日本人配乗船とオールフィリピン人配乗船では、ざっと見積もっても3〜4億円ほどのコスト差が生じてしまうことを考えれば、旅客船などの例外的なケースを除き、民間会社での採用は難しい。
- 仮にそうであるとすれば、非常時等において配乗される日本人船員は幹部ばかりになるが、そのような状況でナショナル・セキュリティを確保できるのか。
- 今までは、船員数の減少は近代化船のような技術力によってある程度カバーしてきた。また、ヒューマンインフラ部会で議論されるとは思うが、必要な船員を確保するためには、船員志望者を増やすため、低年齢をターゲットにPRするなど、地道にやっていかなければならないのではないか。
- 日本籍船・日本人船員を増やすことにより、どの部門でどのようなメリットがあるか、どの部門を強化したいのかについて検討する必要がある。例えば、ドイツでは陸上雇用増加、オランダでは自国オペレータ増加、フランスでは自国籍船員増加等に焦点を絞り、トン数税制を議論しており、日本でも、焦点を絞って制度設計すべき。船社の代表、船員の代表、荷主の代表が揃っているまさにこの審議会の場は、そのような議題について議論する良い機会である。
- 経済のグローバル化・フラット化が進展する中、経済安全保障上、日本籍船・日本人船員の減少に歯止めをかける必要はある。農林水産省の食糧自給率を例にとると、何%が適切かは決め手がないが、0%は問題であり、現在の水準を少しでも上げようとしている。日本籍船・日本人船員もそれと同じである。少なくとも非常時、有事の対応として日本籍船・日本人船員を増加させる必要があるとのコンセンサスの下、国家的要請からやるならば、最低限確保すべき水準まで税制等のインセンティブが必要、というロジックとなるのではないか。
- 船は、当然、平時においても非常時においても使用可能である。故に、非常時においてこれだけの規模の日本籍船が必要であり、それを確保しておけば平時においてもこのようなメリットがあるということも整理する必要があるのではないか。
- 平時、非常時、有事と場面を言い分けなくても、「最低限必要な」日本籍船・日本人船員の規模がどうかと言えばよいのではないか。
- 国際海上輸送部会の今後のスケジュールが決定された。
※「委員からの主な意見、要望」は、現時点において事務局の責任においてとりまとめたものであり、今後発表される議事録等と異なる可能性があります。
交通政策審議会海事分科会第2回国際海上輸送部会 資料 【PDF形式】
PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。右のアイコンをクリックしてAcrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご参照下さい。
|

(ダウンロード)
|
All Rights Reserved, Copyright (C) 2007, Ministry of Land, Infrastructure and Transport