・ | 国民生活の変化を反映し、利用者の多様なニーズに対応して創意工夫を凝らした適時適切なサービスの供給 |
・ | 既存事業者におけるより効率的な事業運営努力 |
「安全の確保」「消費者の保護」への対応方策は、基本的には、それ自体の必要性によってあり方が定められるべきであって、需給調整規制の有無にかかわらず、その時点での社会的費用等を勘案して対応方策の選択がなされるべきであるが、他方、需給調整規制は「安全の確保」「消費者の保護」に一定の効果をもたらしてきたことも否定できない。
したがって、需給調整規制廃止に伴い、新規参入が容易になることで、いろいろな事業者が出現することになり、また、競争の激化に伴う経費の節減等により、結果として安全性の低下やサービスの質の低下がもたらされることも懸念されることから、これらに対応するための方策の方法、対象、内容を必要に応じ改善、充実させていくことを検討すべきである。
この場合の具体的な制度設計に当たっては、市場やモードの特性に十分配慮する必要があろう。
また、「安全の確保」「消費者の保護」を目的とした対応方策といえども、市場における競争に何らかの影響を与えることに十分留意すべきであり、これらの方策が、合理的な範囲を超えて競争制限的な効果を持つものとならないよう、技術の進展や社会経済状況の変化に応じ、不断に見直していくべきである。
さらに、行政として対応方策を採る場合には、手続の透明性を高めるとともに、その内容について説明責任を果たしていくべきである。
なお、「消費者の保護」という概念は極めて広く、「安全の確保」や「生活交通の確保」も含まれているが、これらについては別に言及していることから、「損害賠償能力」「意見・苦情への対応」「情報提供」等の項目について検討の対象とした。
また、「安全の確保」に関する国と地方公共団体の役割に関し、安全基準の策定については、人命や財産の安全の確保について国が責任をもって一定の水準を担保する必要があること、交通運輸サービスは一の都道府県の範囲を超えて広域的に提供されることが多く、基準の統一を図ることが事業者と利用者の利便に資すること、といった理由から、国が専門的な見地から全国的・統一的に基準の策定を行うことが適当である。その際には、地域の特性にも配慮すべきである。
なお、「安全の確保」は、生命、財産に係わる極めて重要な問題であり、今後とも交通運輸サービスの最も基本的な課題として、交通運輸行政の根幹をなす分野であると考えられる。そもそも「安全の確保」は、事業参入、事業運営面のあり方、乗員の資格のあり方、輸送機器・施設の技術基準、検査体制のあり方、事故原因の究明及び対応方策のあり方等が総合的に講じられることによって担保されるべき課題である。運輸政策審議会総合部会では、このうち主に事業参入、事業運営面のあり方等に関する視点を中心に審議したが、安全に係る問題は、技術的施策に極めて関わりの深いものであることから、このような技術的事項も含めた安全に係る問題については運輸技術審議会等における検討結果、審議状況等と整合性をとりながら、事業形態の多様化等の社会経済状況の変化、事業活動の効率化に配慮しつつ、別途、総合的に検討する必要があると考えられる。
(2) 「安全の確保」のための具体的措置