I はじめに I はじめに


 運輸省は、平成8年12月、行政改革や経済構造改革の推進が焦眉の急であること等に鑑み、競争の促進により交通分野における事業活動の一層の効率化、活性化を図るため、従来の運輸行政の転換を行い、その根幹をなしてきた需給調整規制を原則として目標期限を定めて廃止することとした。これは、市場原理と自己責任原則の下に事業者間の競争を促進し、事業活動の効率化、活性化を通じてサービスの向上・多様化、運賃の低廉化等を実現していくことを目的とするものである。
 しかしながら、需給調整規制の廃止は、これまで参入・退出規制や運賃規制等によって保たれてきた安定的な輸送に大きな影響を与えることとなり、その結果、様々な問題が生じることが予想される。このため平成9年4月、運輸政策審議会に対して、需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について諮問が行われた。
 国内旅客船事業については、この諮問を受け、同年5月より同審議会の下に海上交通部会及び同旅客船小委員会を設置して審議を行ってきたところである。
 この答申は、国内旅客船事業の需給調整規制廃止に向けて、安全確保及び利用者保護のために必要な措置、運賃制度のあり方並びに生活航路の維持方策等の環境整備方策等についてとりまとめたものである。


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