II 国内旅客船事業の概況 II 国内旅客船事業の概況


 国内旅客船事業は、旅客及び物資の輸送に欠くことのできない公共輸送機関として重要な輸送手段となっており、現在897の旅客船事業者により1,453航路が経営されている。その中には、旅客はもとより貨物輸送に重要な役割を果たしている長中距離フェリー事業や離島住民の生活の基盤として日常生活に必要不可欠な役割を果たしている離島航路事業をはじめ、様々な事業の形態が存在する。
 現在、海上運送法に基づく国内旅客船事業は大別して旅客定期航路事業(一定の航路において一定の日程表に従い旅客を運送するもの)と旅客不定期航路事業(一定の航路において不定期に旅客を運送するもの)からなっているが、その事業規制の枠組の基本にあるのは不特定多数の旅客を一定の日程表に従い運送する一般旅客定期航路事業であり、その参入については航路毎の需要と供給のバランスを審査する免許制とされ、退出については許可制がとられている。運賃については、総括原価主義に基づく認可制がとられており、需給調整規制とあいまって、安定的なサービスの供給を可能としてきた。また、利用者保護の観点から、運送約款について認可制がとられているとともに、公共の利益を阻害している事実があると認めるときは、運輸大臣は事業者に対してサービスの改善を命ずることができることとされている。
 さらに、公共交通機関として、安全の確保は最も基本的な課題であることから、事業運営面での種々の安全規制が課せられているところである。


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