VI 需給調整規制を廃止するにあたって留意すべきその他の事項 VI 需給調整規制を廃止するにあたって留意すべきその他の事項

(i) 貨物フェリーについて
 貨物フェリー(自動車航送貨物定期航路事業)については、自動車航送に係る一般旅客定期航路事業との需給調整を行う必要性から海上運送法に独立の事業類型を設けているが、国内旅客船事業に係る需給調整規制が廃止される場合には、貨物フェリーの事業類型を設けて需給調整を行う必要性も失われることとなる。このため、貨物フェリーについては、その事業類型を廃止し、内航海運業として位置づけることが適当である。

(ii) 雇用問題について
 国内旅客船事業に係る需給調整規制を廃止する目的は、競争を通じて国内旅客船事業の活性化を促すものであるが、競争の過程において、雇用問題の発生も予想されるので、転職を支援し失業を回避するために必要な事前訓練等の船員雇用施策の拡充を図ることが必要である。

(iii) 中小企業の経営基盤の強化について
 国内旅客船事業者は中小零細事業者が多く、需給調整規制を廃止する場合には、これらの事業者には一層の経営基盤の強化が求められることとなる。このため、各事業者においては、中小企業を対象とした支援措置や国内旅客船事業を対象とした支援措置を活用しつつ、経営基盤の強化を図ることが必要である。

(iv) 港湾施設について
 需給調整規制を廃止し新規事業者の参入が活性化する結果、港湾によっては参入に際し港湾施設の利用上の制約が生じることも想定される。
 このため、事業者、港湾管理者等の関係者による協議を行い、港湾施設の効率的な活用を図るとともに、既存施設のみでは対応できない場合には、港湾施設の整備を図る必要がある。
 港湾施設の整備については、時間を要することから、港湾施設の整備当局が国内旅客船事業者等から航路開設予定に関する情報収集を実施しているところであるが、従前にも増して需要を的確に把握し、効率性に配慮しつつ計画的に進めていくことが適当である。


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