循環型社会の構築、地球温暖化対策、自然環境の再生、大都市圏を中心とした大気汚染問題への対応等が強く要請されており、こうした近年の環境問題を取り巻く状況を踏まえると、社会資本整備や交通政策等に関し、
環境の保全と創出のための環境政策の推進は特に重要であり、国土交通行政を総合的に推進する立場にある国土交通省は、環境行政の推進にあたり重要な役割を担っています。その際、社会資本については、
整備面のみならず適切な維持管理による環境への配慮も重要です。
また、国土交通省は、全国に地方支分部局や現場組織を有しており、職員も約4万6000人を擁する組織であり、その事業の実施に必要な物資の調達を始めとして規模の大きな経済主体となっています。
このことから、国土交通省が、経済活動の主体としての活動を率先して環境配慮型にすることは、社会全体に対して大きな効果を生み出すものと考えられます。
このように、国土交通省は、環境問題の解決に大きく貢献する責任を有する立場でありますが、この他にも豊かで快適な社会の構築、経済の活性化、安全の確保、地域の振興といった多くの政策課題を抱えており、
環境基本計画の目指す持続可能な社会の実現に向けては、これらの課題とのバランスを図りながら環境政策を推進していくことが必要です。
このためには、国土交通省の行う環境政策の推進状況を適切に把握・評価の上推進していくとともに、経済主体あるいは社会資本の維持管理主体としての環境への配慮についても、同様に適切に評価の上進めていくことが必要です。
このような環境への配慮については、平成12年12月に閣議決定された環境基本計画においては、「関係府省は、環境基本計画を踏まえながら、自主的に環境配慮の方針を明らかにする」こととしており、国土交通省としてはこのことも踏まえ、
「国土交通省環境政策の基本的方向」(以下、「基本的方向」という。)を策定しました。基本的方向においては、国土交通省において取り組むべき環境政策や環境への配慮を体系的に整理して示すとともに、
その推進状況を自主的に点検する体制を示しています。
国土交通省の環境政策に関する活動を以下のように分類し、それぞれについて具体的な目標とその達成のために必要な施策の方向性を示します。目標については、可能な限り定量的なものとし、毎年、評価を実施することにより、その進捗状況の点検を行います。
なお、国土交通省では、省全体の政策評価の基本計画として「国土交通省政策評価基本計画」を作成しています。基本的方向における目標の設定や評価の実施にあたっては、同計画やその他既存の計画の記載内容との整合性を図ります。
【 循環型社会の構築 】
《目標》
◆建設廃棄物の再資源化・縮減率
<全体>
85%(H12年度)⇒88%(H17年度)⇒91%(H22年度)
<アスファルト塊>
98%(H12年度)⇒98%以上(H17年度)⇒98%以上(H22年度)
<コンクリート塊>
96%(H12年度)⇒96%以上(H17年度)⇒96%以上(H22年度)
<建設発生木材>
83%(H12年度)⇒90%(H17年度)⇒95%(H22年度)
<建設汚泥>
41%(H12年度)⇒60%(H17年度)⇒75%(H22年度)
<建設混合廃棄物>
25%削減(H17年度、H12年度比)⇒50%削減(H22年度、H12年度比)
◆建設発生土の有効利用率
60%(H12年度)⇒75%(H17年度)⇒90%(H22年度)
◆直轄工事におけるリサイクル率
<アスファルト塊>:99.7%(H12年度)⇒100%(H17年度)
<コンクリート塊>:97%(H12年度)⇒100%(H17年度)
<建設発生木材>:75%(H12年度)⇒100%(H17年度)
《施策の柱》
《目標》
◆循環型資源国内輸送コストの削減
◆港湾における廃棄物取扱い比率
<一般廃棄物>:19%(H9年度)⇒21%(H18年度)
<産業廃棄物>:11%(H7年度)⇒14%(H18年度)
《施策の柱》
《目標》
◆リサイクル部品を使用する自動車整備工場の割合
:64.8%(H12年度)⇒80%(H17年度)
◆FRP船リサイクルシステムの事業化(H17年度)
◆下水汚泥のリサイクル率の向上
◆積雪寒冷地における家畜ふん尿等のリサイクル技術の確立(H17年度)
《施策の柱》
《目標》
◆2010年におけるCO2の排出削減量(自然体ケースとの比較)
<運輸部門> :約4,600万t-CO2
<民生部門のうち住宅・建築物関係>:約3,560万t-CO2
<都市緑化等による吸収見込量> : 約28万t-CO2
<下水道に係るN2Oの排出削減> : 約200万t-CO2
◆低公害車普及台数
:約381万台(H14年末)⇒1000万台(H17年度)
◆ガソリン乗用車の平均燃費向上(H7年度比)
:14%(H13年度)⇒23%(H22年度)
◆ガソリン貨物車の平均燃費向上(H7年度比)
:10%(H13年度)⇒13%(H22年度)
◆ディーゼル自動車の平均燃費向上(H7年度比)
:8%(H11年度)⇒13%(H17年度)
◆内航海運の輸送分担率
:42.1%(H13年度)⇒44%(H22年度)
◆次世代内航船(スーパーエコシップ)の実用化(H18年度)
◆鉄道コンテナの輸送分担率
: 3.2%(H12年度)⇒3.6%(H22年度)
◆住宅・建築物の省エネルギー化率
<住宅> :8%(H12年度)⇒50%(H20年度)
<建築物>:34%(H12年度)⇒80%(H18年度)
◆港湾空間における風力発電設備容量
:3,300kW(H14年8月)⇒70,000kW(H19年度)
◆航路標識のクリーンエネルギー化によるCO2等の排出削減
《施策の柱》
《目標》
◆地球地図プロジェクトの推進(データ整備の支援)
:12カ国(H14年度)⇒地球全陸域(H19年)
◆温室効果ガス世界資料センターで収集・公開する全世界の観測データ数
:637地点(H14年末)⇒680地点(H19年)
◆開発途上国に対する持続可能な開発のための貢献
◆環境負荷の小さい社会の構築に向けた先進国との連携・協力
《施策の柱》
《目標》
◆燃料電池の開発・普及促進
<自動車>:数台(H14年)⇒5万台(H22年)⇒500万台(H32年)
<住宅用>:住宅用燃料電池の実用化及び普及
北海道の地域特性を活かした燃料電池の実用化及び普及
《施策の柱》
《目標》
◆湿地の再生面積 : 0ha(H13年度)⇒300ha(H18年度)
◆新たな砂浜の創出面積 :290ha(H12年度)⇒560ha(H18年度)
◆藻場・干潟の回復面積 :6.5%(H12年度)⇒19%(H18年度)
◆環境の向上に資する良好な緑地の整備の推進
《施策の柱》
《目標》
◆河川の適正な流量の確保
◆河川水質の向上(環境基準を満足する調査地点)
:83%(H12年度)⇒85%(H18年度)
◆下水道普及率の向上
◆下水道の高度処理人口普及率の向上
◆合流式下水道改善率
:10%(H12年度)⇒15%(H16年度)
◆水道水源域における下水道処理人口普及率
:48%(H12年度)⇒60%(H18年度)
◆海域における水質等の改善
◆雑用水利用の促進
《施策の柱》
《目標》
◆最新排出ガス規制適合車の割合
<乗用車>:6.2%(H12年度)⇒40%(H17年度)
<貨物車>:4.1%(H12年度)⇒30%(H17年度)
◆NO2に係る環境基準達成率の向上
:三大都市圏でH22年度までに大気環境基準を概ね確保
◆自動車に起因するPM排出量の削減
:三大都市圏でH22年度までに、自動車起因のPMが相当程度削減されることにより大気環境基準を概ね確保
《施策の柱》
《目標》
◆夜間騒音要請限度達成率の向上
◆航空機騒音に係る環境基準の屋内達成率
:93%(H12年度)⇒95%(H18年度)
《施策の柱》
《目標》
◆都市における公園・緑地の確保量の増加
◆都市内道路緑化率の向上
◆港湾空間の緑化率 :6.9%(H12年度)⇒8.0%(H18年度)
◆河川における人工的な水際率:36%(H12年度)⇒34%(H18年度)
《施策の柱》
《目標》
◆都市のヒートアイランド現象の緩和
《施策の柱》
◆環境影響評価の適切な実施による環境への負荷の低減
《施策の柱》
◆環境にやさしい資材や建設機械を使用した公共事業の推進
《施策の柱》
◆公共事業の計画段階における環境配慮の実施
《施策の柱》
◆環境教育・環境学習の推進
《施策の柱》
◆地域住民、NPO等との協働の推進
《施策の柱》
◆建設産業界、運輸産業界、観光産業界等との連携の推進
《施策の柱》
◆低公害車の導入
低公害車保有率(一般公用車):21.4%(H13年度末)⇒100%(H16年度末)
◆環境負荷の低減に資する環境物品等の調達
◆エネルギー使用量の抑制
◆公用車の効率的利用、自転車の活用
◆製品等の使用量の削減・長期使用の徹底
◆ごみの分別、廃棄物の減量
◆既存の建築物における省エネルギー対策の徹底
◆環境にやさしい建設資材、建具、空調設備等の導入と適正な管理
基本的方向の策定及び見直し並びに進捗状況の点検については、国土交通大臣を本部長とする「国土交通省環境政策推進本部」が行うこととし、 その結果を広く国民に公表することとします。本部は、毎年の点検結果に基づき、必要に応じ改善措置を講じるとともに、基本的方向の見直しを行います。