建設機械の環境・安全対策の取り組み

 





 

目  次


 

     環境対策

        排出ガス対策

          ○排出ガス対策型建設機械ステッカー

        騒音・振動対策

          ○低騒音型建設機械ステッカー

          低振動型建設機械ステッカー

        環境対策型建設機械の融資制度

 

     建設機械の安全対策

        建設機械の操作方式

        建設機械施工安全技術指針

        建設機械施工安全マニュアル




 

排出ガス対策


 

 建設機械の年間NOx(窒素酸化物)排出総量は自動車等移動排出源排出総量の15%(約14万トン/)を占めています(台数ベースでは2%)。また、トンネル等閉所作業では黒煙の低減等環境改善が必要となっています。そこで、建設機械から排出されるNOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、PM(粒子状物質:第2次基準値より)、黒煙を削減することにより現場環境および大気環境改善を図るため、国土交通(旧建設)省では平成3年に「建設機械に関する技術指針」を制定し、建設工事の作業環境の改善等に資する建設機械の排出ガス基準値(第1次基準値)を定め、その基準値を満足した建設機械を「排出ガス対策型建設機械」と指定し、建設工事において使用することにより環境対策を推進しています。さらに、平成13年度からは第2次基準値による指定も開始しています。
 またトンネル工事では、あわせて黒煙浄化装置を装着している「トンネル工事用排出ガス対策型建設機械」を使用するよう推進しています。
 なお、平成10年度から国土交通(旧建設)省直轄工事において、使用原則対象機種に関し排出ガス対策型建設機械を使用できない場合は、平成7年度建設技術評価制度公募課題「排出ガス浄化装置の開発」、またはこれと同様の開発目標で実施された民間開発建設技術の技術審査・証明事業により評価された排出ガス浄化装置を装着した建設機械を使用することで、排出ガス対策型建設機械と同様とみなすこととなりました。
 

    
 
 ◎パンフレット(「建設機械の排出ガス対策」)

    パンフレットのダウンロード  (PDF/2,420kバイト)


排出ガス対策型建設機械の使用原則化スケジュール    

使用を原則とする機種

適用開始年度

トンネル工事用建設機械7機種
(バックホウ、大型ブレー力、トラクタショベル、コンクリート吹付機、ドリルジャンボ、ダンプトラック、トラックミキサ)
[ディーゼルエンジン出力30〜260kW]
[黒煙浄化装置をあわせて装着する]

平成8年度

 (ただし、バックホウ、大型ブレーカーについては平成7年度から適用開始) 

主要土工機械3機種(一般工事用)
(バックホウ、車輪式トラクタショベル、ブルドーザ)
[ディーゼルエンジン出力7.5〜260kW]

平成9年度

普及台数の多い建設機械5機種(一般工事用)
(発動発電機、空気圧縮機、油圧ユニット、ローラ類、ホイールクレーン)
[ディーゼルエンジン出力7.5〜260kW]

平成10年度



 建設機械については、上述のように平成3年度から排出ガス対策型建設機械指定制度を実施しているところであり、中央環境審議会「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第六次答申)」(平成15年6月30日)においても、「建設機械の多くは規制値への適合が進んでいる」とともに、「同一エンジンが多種多様な機種に搭載される汎用性による波及効果によっても排出ガス対策が進む」との評価がなされているところです。
 その一方で、オンロード特殊自動車の排出ガス規制強化に伴い、公道の走行の有無によって仕様の変更が行われ、オフロード車においてオンロード車と同じ排出ガス値が担保されなくなる恐れがあり、オンロード特殊自動車の排出ガス規制強化の際には、オフロード特殊自動車に対する規制の導入を検討する必要性が指摘されています。
 このような背景を踏まえ、国土交通省では「オフロード建設機械の排出ガス検討会」を設置し、オフロード建設機械の排出ガスに関する技術的な課題について学識経験者や関係事業者の意見を聴取するとともに、それらの意見を基に、オフロード建設機械の排出ガス対策のあり方について検討を進めています。
 


 ◎オフロード建設機械の排出ガス検討会

   第1回資料  、  第1回議事録   (平成15年11月14日開催)

   第2回資料  、  第2回議事録   (平成15年12月11日開催)

   第3回資料  、  第3回議事録   (平成16年 3 月24日開催)

   第4回資料  、  第4回議事録   (平成17年 3 月25日開催)

   第5回資料                  (平成17年12月12日開催)

 



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騒音・振動対策 

 


 騒音に関する苦情件数のうち、建設工事に起因するものが1/4強(H12は3909件)、振動に関する苦情件数のうち、建設工事に起因するものが1/2強(H12は944件)となっています。そこで、建設工事に伴う騒音、振動の発生をできる限り防止することにより生活環境の保全と円滑な施工を図るため、国土交通(旧建設)省では昭和51年に「建設工事に伴う騒音振動対策技術指針」を策定し、建設工事の計画、設計、施工の各段階において起業者及び施工者が考慮すべき技術的対策の基本方針を示しています。また、機種毎、出力毎に騒音または振動の基準値を定め、基準値を満足した建設機械を「低騒音型建設機械」(昭和58年指定開始)または「低振動型建設機械」(平成8年指定開始)として型式指定を行い、生活環境を保全すべき地域で行う工事で使用を推進しています。
 また、平成9年10月1日には「低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程」(平成9年建設省告示第1536号)及び「建設機械の騒音及び振動の測定値の測定方法」(平成9年建設省告示第1537号)を施行し、騒音基準値を騒音規制法と整合させる、測定方法を国際規格と合わせる等「低騒音型建設機械」の指定基準を全面改正しました。これにより「低騒音型建設機械」のうちブルドーザー、バックホウ、トラクターショベルの3機種については、騒音規制法における特定建設作業の対象から除外されます。
 


 《みなし機械の取扱いについて》 (H14.10.1)

 平成9年10月1日の「低騒音型・低振動型建設機械の指定に関する規程」施行以前に低騒音型建設機械として指定してきた建設機械19機種2737型式('89ラベル)については、同規程の附則第2項(経過措置)に基づき、平成14年9月30日までの間、現行制度下でも指定機械とみなしてきました。
 この度、経過措置期間が終了し、上記「みなし機械('89ラベル)」については指定の取り消しとなったため、国土交通省の直轄工事現場等において低騒音型建設機械を使用する場合は、その取扱いに留意して下さい。(以下)
 
・各工事現場において、低騒音型建設機械の使用が原則化されている箇所、工法、機種に該当する場合は、その使用が認められないこと。
・騒音規制法施行令で定める特定建設作業の対象となる建設機械として扱われること。(「特定建設作業の実施の届出」が必要になる場合があること)
・グリーン購入法の調達品目に該当しないこと。(調達品目の該当は'97ラベルのみ)

 

          みなし機械('89ラベル)と新基準機械('97ラベル)との見分け方
 

 

 5年の経過措置期間の間に建設機械メーカー側において、旧基準で指定された型式について新基準の指定の取り直し、メーカーによる騒音対策(小変更(追加対策))を施すことにより新たな型式の指定取得、等の措置もとられています。各ユーザーにおいては、保有するみなし機械('89ラベル)に関するメーカーの対応について、ご不明な点がありましたら各建設機械メーカーへ問い合わせて頂くようお願いします。

 

みなし機械('89ラベル)から新基準機械('97ラベル)への移行ケース

[平成14年9月30日をもって指定が取り消された建設機械('89ラベル) 19機種2737型式]

[みなし機械('89ラベル)であるが新基準('97基準値)による型式指定を受けているため、今後も低騒音型建設機械('97ラベル)として使用できる機械の型式一覧(平成14年9月30日現在)]
 

 みなし機械('89ラベル)として指定されている型式で、そのまま型式名も同一で新基準の指定を受けている建設機械('97ラベル)について、以下にその型式一覧表を示すので参考にして下さい。(これらについてはラベルを貼り直し(建設機械メーカーの対応)、今後も引き続き低騒音型建設機械として使用し続けることができます。)


《参考》

低騒音型建設機械について、技術指針における取扱いと特定建設作業における取扱い、それらの関係について模式図にまとめたので参考にしてください。

 

          低騒音型建設機械と特定建設作業
 
 


          本件に関する問い合わせは、

                   国土交通省 総合政策局 建設施工企画課
                     施工環境技術推進室 施工環境係まで


                      Tel : 03-5253-8111  (内線24-955)

 


 

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建設機械の安全対策


 

@建設機械の操作方式

  建設機械の操作レバーの配置、操作方式等は、メーカー毎に様々であり統一されていませんでした。建設機械の保有形態が自社保有からリースレンタルへと移行している状況では、操作方式の不統一は、施工性及び安全性に問題を引き起こし、建設機械のユーザから操作方式の統一が強く要望されていました。このようなことから国土交通(旧建設)省では、バックホウ、移動式クレーン(クローラクレーン、トラッククレーン、ホイールクレーン)及びブルドーザの操作方式を統一し、その操作方式に合致した建設機械を標準操作方式建設機械として指定し、国土交通省所管直轄工事においてその使用を推進してきました。その結果、標準操作方式建設機械の販売率は8割を越え、その普及も進んでおります。また人材育成の面においては、国土交通省の建設機械施工技師の実技試験では標準操作方式建設機械を使用しており、若手を中心に標準操作方式はかなり普及し、施策としての目標は達成しました。そこで、規制緩和、国と民間の役割分担の観点から、国土交通省における指定を止め、標準操作方式建設機械の国土交通省への指定を平成10年3月31日で締め切りました。
 今後、これまで標準操作方式建設機械として指定されている建設機械に加え、標準操作方式に合致する操作方式の建設機械の普及を推進していきます。

 

   ◎通達関係

          建設機械に関する技術指針

 

   ◎指定関係

         [標準操作方式建設機械:1311型式指定(最終)]

   

A建設機械施工安全技術指針

 建設業に関わる労働災害は他産業と比較し、依然として高い水準にあり、その中でも建設機械が占める割合は約一割半ばと高く、より一層の安全対策の推進が望まれています。
 標記の「建設機械施工安全技術指針」は、建設機械施工に関わる事故、災害を防止するために、各工種毎または調査、計画、施工段階毎に必要な技術上の留意事項を整理しとりまとめたもので、建設機械施工における安全施工の参考として頂いているものです。
 近年、建設機械施工における事故形態が変化している状況を鑑み、施工現場の現状との整合や関係する法令・通達等との整合性を踏まえ、安全施工の速やかな対応を図るべく、平成17年3月31日に一部改正を行いました。

         建設機械施工安全技術指針

 

B建設機械施工安全マニュアル

 国土交通省では、平成6年に建設機械施工に関する安全に必要な技術留意事項や措置を示した「建設機械施工安全技術指針(平成17年3月一部改正)」を策定し、建設現場における事故防止に努めてきました。しかしながら、依然として全産業における建設業の死亡事故発生率は約32%(「平成16年度建設業安全衛生年鑑」:建設業災害防止協会による)を占めており、このうち約17%が建設機械に関連する事故となっております。
 また、昨今、建設機械の技術進歩による操作の複雑化や小型化による重心位置の変化、安全装置が適切に活用されないことによるヒューマンエラー的な事故ケース等、事故要因が変化しています。
 このような状況から、様々な事故要因のうち、特に「建設機械」と「施工」に起因する事故を減少させる為に安全対策を講じ、建設業にかかる労働災害の低減を図るべく、建設機械施工安全マニュアル(以下「マニュアル」という)を策定いたしました。
 本マニュアルは、建設工事における建設機械施工に関し、安全確保のための留意事項や措置・手段について示しており、本マニュアルを活用することで、建設機械施工の指導的立場にある施工業者の現場監督、職長、世話役等の現場技術者が、お互いの安全管理の補完と安全施工に対する共通意識を持ち、チェックシートの活用により、具体的な建設機械施工の安全性向上が期待できます。
 本マニュアルにつきましては、安全担当者ならびに安全管理責任者が、本マニュアルに示す基本的なチェック項目について、個々の現場における特有な条件などを加味し更なる工夫を加え、建設現場に適した建設機械施工の安全管理等にご活用ください。

         建設機械施工安全マニュアル


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