- 開催日時
平成14年3月 6日(水)18:00〜20:00
平成14年3月13日(水)10:00〜12:00
- 開催場所
国土交通省会議室
- 議題
圏央道事業認定関係について
- 議事要旨
国土交通大臣から付議された一般国道468号新設工事〔一般有料道路「首都圏連絡中央自動車道」新設工事〕及びこれに伴う附帯工事並びに高速自動車国道中央自動車道富士吉田線(八王子ジャンクション(仮称))新設工事に関する事業認定について、公共用地部会における審議の結果、「土地収用法第20条の規定により事業の認定をすべきであるとする国土交通大臣の判断を相当と認める。」との意見が議決された。
同意見は、社会資本整備審議会令第7条第7項及び社会資本整備審議会運営規則第9条第3項の規定に基づき、社会資本整備審議会の議決とされた。公共用地部会における主要な意見は次のとおりであった。
- 本件は、社会的な関心を呼んでいる事業ということもあるが、それだけではなく、国土交通大臣そのものが行う事業を国土交通大臣が事業認定をしようとするものであるから、その判断の中立性が問われるという点において、当部会が意見を述べることの意義は非常に大きいものがあるので、特に慎重に議論をしたい。
- 公共用地部会は、事業認定に関する第三者機関として、公共事業の公益性の認定ということについて、その最先端で責任を負わせられている。公共事業の公益性の認定に当たっては、従来の論法に乗って議論するのではなく、その精神にまで触れてきちっと議論していかなければならない。
- 本件事業認定についての判断はともかく、交通について需要追随型から需要管理型への転換、低公害車の開発を始めとする環境への配慮、計画策定段階における住民参加など社会資本整備の在り方についても、公共用地部会として意見を述べていくべきと思う。
- 需要管理型の道路政策、環境保全、住民参加とどれをとっても大問題で、抽象論を述べても無責任かもしれず、付議された案件に即して具体的な提言をすべきではないか。
- 最近、需要管理型の交通政策の議論が様々なところで展開されているが、これは、一般的に、ある一定の枠組みの都市の中で道路とそれを含む公共交通との役割分担をどう考えるかという議論であり、これと本件の区間を整備すべきか否かという議論とでは、レベルが違うのではないか。
- 高尾山にトンネルを通すことの是非という問題は、今回の案件についての判断の中で考慮すべき事項なのであろうか。道路というものは連続しているものであるからといって無限に考慮すべき範囲を広げることはできないから、道路としての一体性、効用を発揮する最小限の単位で考慮すべきであると考えるならば、高尾山トンネルを欠くと今回の申請区間の効用が発揮されないという関係にはないということであろう。
- 高尾山トンネルそのものは関係ないとしても、高尾山の景観という論点に関し、八王子ジャンクションは当然考慮の対象となる。
- 八王子ジャンクションに設置する換気装置に不備があるという意見については、環境基準を満たしていれば脱硝装置は要らないということでいいのであろうか。事業認定における判断は別にしても、技術の進歩に応じて可能な限り、環境を汚染しない方向で検討していくべきではないかと思う。
- 公聴会で出された高尾山の持つ特別な価値という論点は、文明論を言っているのであり、日本国全体の国の造り方に関係するものであって、これを軽んずることはできないが、既に進んでいる個別の事業についての判断という場面では、結局すれ違いとならざるを得ないであろう。
- 哲学的な視点というものは、社会資本整備という視点と、対立したり、どちらかが優越するという関係にはないのであって、自然科学的アプローチと人文的アプローチのように両立し得るものである。「心の風景」といったような観点は、これからの社会資本整備の中では、新しい要素として、計画構想段階でこの種の価値観をきちんと取り入れていくということが重要である。公聴会で述べられたこの種の意見は、今後の構想に非常に有効な提言であるが、本件事業の公益性を否定する理由にはならないのではないか。
- 公聴会で出された意見などについては、それぞれの論点ごとにその採否を判断して、否なら切り捨ててしまうのではなく、評価できる点があればそれを評価した上で、総合的に判断することが必要ではないか。例えば、住民が実施した大気環境調査、いわゆる「住民の自主アセス」について見れば、直ちに一刀両断に切り捨てることはできないと思う。
- オオタカの問題については、オオタカとの共生の途を追求するということなら、その存在のゆえに、事業を中止するという判断はできないであろう。
- 猛禽類には、オオタカ、オオワシ、イヌワシと様々な種があって、それぞれ生態に違いがあるのであるから一括りにして考えてはならず、種の特性に応じて考える必要があるのではないか。
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