
常磐新線(千葉県内区間)に係る
社会資本整備審議会公共用地部会議事要旨について

- 開催日時
平成14年2月27日(水)15:30〜17:30
- 開催場所
国土交通省会議室
- 議題
常磐新線事業認定関係について
- 議事要旨
国土交通大臣から付議された常磐新線事業認定(千葉県区間)について、公共用地部会における審議の結果、「土地収用法第20条の規定により事業の認定をすべきであるとする国土交通大臣の判断を相当と認める。」との意見が議決された。
同意見は、社会資本整備審議会令第7条第7項及び社会資本整備審議会運営規則第9条第3項の規定に基づき、社会資本整備審議会の議決とされた。公共用地部会における主要な意見は次のとおりであった。
- 事業認定に関する判断は、失われる利益と実現される公共的利益との比較衡量で、失われるものよりも得られるものが大であれば、事業認定をするということであり、その事業認定庁の判断過程をチェックするのが社会資本整備審議会の任務であろう。さらに、公聴会の開催を義務付けた改正土地収用法の趣旨を考えると、公聴会で出された意見を適切に考慮したかということも、またチェックしなければならないと考える。
- 公聴会等で出された論点の全ての事項について、問題があってはならないと考える必要はない。要は、トータルとしての公益性が担保できればよく、すべての論点を論破しなければ事業認定はしないという必要はない。
- 公聴会で出た個々の意見についての検討は当然必要であるが、それだけではなく、大きな交通体系問題、首都圏開発問題、そして今後の我々日本人の住み方、働き方、暮らし方から見たときに、本件事業は、ことによれば赤字かもしれないけれども有効ではないかというようなもっと大きな土台を認めておく必要がある。
- 本件事業が有する公益性は、首都圏北東部地域における交通体系の整備が大きな柱であって、JR常磐線の混雑緩和といったことは副次的なものであり、都心回帰などの人口移動が将来起きたとしても、それが揺らぐことはないと理解するのが相当ではないか。
- 鉄道事業の採算性に関して、都心回帰の流れがある中で沿線の宅地開発が成功するかどうかという論点があるが、都心回帰の要因は、長時間通勤を嫌うということと高齢者が都心を指向することにあり、本件事業に関しては、価格にもよるが、都心まで一時間以内の一戸建てということなら案外そういう流れとは別な形になることも考えられ、また、沿線に既に住居を持っている人が、都心回帰をしなくて済むという面もあるかもしれない。
- 首都圏新都市鉄道鰍フ経営管理能力が十分かという論点については、問題があるという見方もあるかもしれないが、トータルとして公益性があると考えることもできる。事業認定の判断というのは、そういうものではないか。
- 一般論としてはともかく、本件事業に関しては、昭和60年当時、常磐新線というのは、首都圏開発の正に新しい動脈づくりということで大変な期待を集めていたと思う。
- 本件事業のように他の都県では事業が進んでいるのに、ある一部だけが残って、全体構造が崩れることによる公益性の逸失ということは、考慮できないのか。
- その点については、事業計画の早期段階で、オープンな手続保障があれば、その蒸し返しは許さないという考え方もとれるかもしれないが、それがない日本の現行制度の中では、公平感覚に欠けるという考え方もある。
- 土地収用法第20条第3号の要件に関しては、工事が進捗しているといった既成事実は考慮されるべきでないという説もあるが、これはなかなか難しい問題である。
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