国土交通省では、交通事業者及び事業者団体(以下、「事業者等」という。)に対して睡眠時無呼吸症候群(SAS=sleep apnea syndrome)問題への対応状況等のアンケート調査を行い、これを取りまとめたので、その調査結果の概要を下記のとおり公表する。
記
- 調査時点:平成15年6月30日
- 調査方法:本省総合政策局より地方運輸局等を経由して事業者等へ調査票を配布・回収し(無記名回答・任意提出)、本省総合政 策局で取りまとめた。
- 調査項目:
(1)当省からの通達等の周知状況(五者択一)
(2)事業者等の独自の対応(自由記述)
(3)事業者等が抱える課題・問題点(自由記述)
- 有効回答数:鉄道関係169、自動車交通関係1,250、海事関係365
(航空関係については、従来からSAS問題について事業者等に周知がされており、航空身体検査でチェックされる体制となってい るため、今回の調査対象に含めていない。)
- 調査結果の概要
- (1)当省からの通達等の周知状況(五者択一)
鉄道関係では、回答を寄せた全事業者が「周知済」と回答した。
自動車交通関係では、回答を寄せた事業者等の59.4%が「周知済」、12.2%が「一部周知済」、24.3%が「周知予定」、1.8%が「周知しない」と回答した。ただし、「周知しない」と回答した場合でも、その理由として「健康診断等を行った結果、周知すべきと思われるSASの疑いのある者がいなかった」等のように、何らかの対応をした旨を回答したものが最も多かった。
海事関係では、回答を寄せた事業者等の57.8%が「周知済」、8.8%が「一部周知済」、27.4%が「周知予定」、3.0%が「周知しない」と回答した。ただし、「周知しない」と回答した場合でも、自動車交通関係と同じく、何らかの対応をした旨を回答したものが最も多かった。
- (2)SAS問題における事業者等の独自の対応(自由記述)
記述があった回答(計724件)のほとんどが、概ね以下の3つの内容に分類することができる。
「健康診断・自己診断・点呼等で確認」(記述があった回答のうち約6割)
(医師による健康診断や問診を受けさせた、チェックシートを配り自己診断させた、家族の協力を得て睡眠時の状況を調査した、点呼で健康状態を確認した等)
「広報・会議等で周知徹底」(記述があった回答のうち約2割)>
(社内報や会議でSAS問題を周知徹底した、関係新聞記事やパンフレットを配布した、講演会や研修会に参加し内容を伝達した等)
「健康管理徹底、勤務体制充実」(記述があった回答のうち約1割強)
(十分な睡眠時間の確保を指示した、肥満者にダイエットを指示した、居眠り防止装置を設置した、複数配置に改めた、連絡回数を増やした等)
- (※)この項目は自由記述としたため、記述がない事業者等であっても、必ずしも独自の対応をしていないということではない。
- (3)事業者等が抱える課題・問題点(自由記述)
記述があった回答(計444件)の多くが、概ね以下の3つの内容に分類することができる。
「SAS特有の症状に関する課題・問題点」(記述があった回答のうち約4割)
(本人にSASの自覚症状がない、睡眠時の状況は独り暮らしの者では分からない、飲酒と違って運転前の点呼では把握できない、居眠りの原因がSASなのか不摂生なのか判断できない、治療方法が分からない、症例が少ない等)
「SASの取扱いに関する課題・問題点」(記述があった回答のうち約1割)
(プライバシーの問題から検査を強制できない、乗務を外されることを恐れて自己申告しない者がいる、SASと診断された者の乗務取扱い等)
「SASの診断に関する課題・問題点」(記述があった回答のうち約1割)
(SASを診断できる医療機関が少ない・近くにない、専門医が少ない、診断料が高い、診断に時間がかかる等)
- (※)具体的な課題・問題点ではないと思われる回答もあったが、回答総数に加えている。
- 国土交通省としての今後の対応
国土交通省としては、本年12月10日から来年1月10日まで実施する「年末年始の輸送等に関する安全総点検」において、「飲酒運転、居眠り運転等を防止するための体制整備状況」を重点点検事項の一つとして実施することとしており、本調査結果も踏まえつつ、この総点検の適切な実施等により、交通事業者におけるSAS問題への対応の徹底を図ることとしている。


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