平成11年度
建設省重点施策の紹介
このページでは、平成10年8月21日(金)に公表しました平成11年度建設省重点施策について紹介します。
「重点施策のポイント」(概要)については下記をご覧いただき、施策の骨子(フローチャート)についてはこちらを、また重点施策の本文については、こちらをそれぞれクリックしてご覧下さい。
===平成11年度建設省重点施策のポイント===
少子・高齢化による投資余力の制約、都市や地域の構造変化、地球規模での環境問題の深刻化などの変化に対応して、従来までの住宅・社会資本の量的充足に重点を置いた「国土建設」から、住宅・社会資本の質を重視し、既存ストックの有効活用や良好な環境の保全・創造等も視野に入れた総合的な「国土マネジメント(整備・利用・保全)」への転換を着実に推進し、活力ある国土の構築を図る。
1.活力ある国土の構築と日本経済の再生
(1)都市構造の再編と土地の流動化
都市の再構築のための明確なビジョンを提示し、戦略的な取組を行うことにより、危険な市街地の解消、質の高い居住環境、円滑な交通機能の確保などを実現。また、都市再開発に対する各種政策手法による集中的な支援により、不良債権問題の出口である土地の有効利用に実効性ある取組を行い、我が国経済の活性化に資する。 |
- 都市再構築の戦略的推進に向けての政策課題、国の取組方針及び重点的施策や重点地域等を明示した施策のトータルプランとして「全国都市整備戦略(UDS)」(仮称)を策定
- 大都市地域を中心に個別の都市について、都市構造の将来像を示し、基盤整備、居住環境整備、土地高度利用等の具体的な目標を明らかにする都市基盤・市街地整備に関するプログラムを策定し、強力かつ計画的な実施を推進
- 大規模な土地利用の転換を戦略的に図るべき地域等において、多様な主体による各種都市基盤施設・拠点地区の一体的整備に対する総合的な支援措置の創設
- 民間事業者による収用権を背景とした事業手法等の整備や民間事業主体等の発意による再開発の推進のための仕組みの構築
(2)地域の維持基盤の確保と活性化の支援
地域の活性化に向けた広域的かつ自立的な取組に対し、生活関連基盤、交流基盤等の重点的な整備を通じた支援を行い、都市と周辺農山漁村等が有機的に連携した地域循環型の生活・経済圏の形成を推進。 |
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- 農道、林道も含む「地域道路整備計画」との整合をとりながら複数市町村の連携による地域振興を支援する「地域整備促進道路事業(仮称)」(地域連携支援型、観光周遊支援型)の創設
(3)発展を支える連携交流ネットワークの構築
広域的に整合性の取れた交通基盤の計画的な整備の推進により、経済構造改革に資する効率的な交通体系を形成するとともに、渋滞、交通事故などの道路交通問題の解消と新産業の創出が期待されるITS(高度道路交通システム)の戦略的な実配備を推進。 |
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- 国際空港、重要港湾等の施設管理者とともに各種交通施設間の連携強化を図る整合のとれた「広域交通基盤計画」を策定
- 先端的なITS技術を統合して組み込んだ安全性、円滑性等に優れた21世紀の道路(スーパーインフラ/頭脳道路)について、実現プログラムを策定
- 料金所渋滞の解消やユーザーの利便性向上等を図るETC(ノンストップ自動料金収受システム)のサービス開始及び普及促進
2.環境との共生をめざした健全な循環型国土システムの確立
環境との共生をめざしつつ、人間活動による環境負荷を低減し、資源の有効活用を図るとともに、水、大気などの自然の物質循環を健全に保つことを可能とする循環型国土システムを構築。 |
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- 水循環の健全化を推進するため「水循環健全化推進大綱(仮称)」を関係省庁と連携し、策定
- ダムによる土砂供給の遮断、砂利採取による河床低下、海岸浸食など土砂をめぐる様々な問題に対応し、ダムの排砂設備の設置、土砂を流すダム放流の実施、砂防事業におけるオープンタイプダムの採用など、土砂を流す川づくりを推進
- 豊かでうるおいのある海辺の創造のため、海岸管理の目的に環境と利用の視点を加えるとともに、日常的な管理における市町村の役割を拡大するなど、海岸管理制度の見直し
3.くらしの質を高める豊かな生活空間づくり 〜少子高齢化に対応した居住空間づくり〜
急速な少子・高齢化の進展の中で、国民が安心して幸せな生活を営むことのできるいきいきとした福祉社会の実現に向けて、くらしの質を高める豊かな生活空間づくりを進める。 |
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- 安心して子どもを生み育てられるゆとりある居住環境づくりを推進するため、広くゆとりある住宅供給の促進、子育て世帯の公的賃貸住宅への入居優遇、職住が近接した都心居住の推進、住宅とあわせた保育所・遊び場等の整備を推進
- 市町村等が祭りや朝市などの道路空間利用の計画を策定した場合に道路空間の柔軟な利活用を図るとともに、道路空間の利活用に配慮した道路及び道路付属物を整備
- 防災、空間、環境機能等の河川の特性を活かしたまちづくりを、市町村が主体となった「河畔まちづくり計画(仮称)」の策定等により推進
4.危機管理型防災対策の推進
我が国は災害が多発する脆弱な国土条件下にあり、防災のための施設整備を引き続き着実に進めるとともに、災害時の被害を最小にするための防災体制の強化など危機管理型防災対策を推進。 |
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- 激甚な水害が発生した場合、地域住民等の生活の安全性や安心を一日も早く確保するよう、災害発生原因に対する抜本的対策を、より集中的かつ機動的に実施する再度災害防止対策制度を確立
II.国土マネジメントの効率的・効果的推進のための条件整備 |
住宅・社会資本整備を効率的・効果的に進めるため、透明で競争性の高い市場環境の整備などを行うことにより、民間主体の活力を最大限に引き出す。 |
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- 住宅の瑕疵保証の充実、住宅の性能表示の整備、専門的紛争処理体制の充実など消費者支援制度の整備・充実
行政と国民との双方向性を重視したコミュニケーション型国土行政への転換を進め、国民のニーズを的確に踏まえた効率的な国土マネジメントの推進を図る。 |
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- 事業の事後評価の基本的方針の検討及び早期の導入
- 国民の多様な意見等を取り込み国民とともに考えていく「PI方式」や国民の協力を得て試行した上で本格的な実施の是非を決める「社会実験」等の導入を推進