国土交通省ロゴ

国土交通白書 2024

第1節 国土交通分野の現状と方向性

コラム 習い事への子ども送迎サービス(hab(株))

 子育て世帯の保護者にとって、子どもの習い事の送迎対応は、働き方や日常生活に大きな影響を与えている。横浜市で実施された、横浜市子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた利用ニーズ把握のための調査<小学生保護者調査>(2023年度実施)によると、共働き率は約7割で増加傾向にあり、一方で小学生の実に7割が、平日の過ごし方の状況として「習い事」と回答している。このことから、習い事の送り迎えのために、保護者が時短勤務をせざるをえない状況が発生し、働き方や就労時間を制限されることに起因するキャリア形成の問題や、送迎手段が確保できないことによって、習い事に通わせることを諦めるなど子どもの送迎が家族全員の生活を左右する可能性がある。

 このような中、子育て世帯向けの送迎サービスの実用化に向けて取り組んでいるのが、横浜市に本社を置くhab(株)である。同社の送迎サービスでは、利用希望者はスマホ上で子どもの習い事の情報のほか、授業等の終了・開始情報、希望の乗降場所をリクエストすることで、AIシステムが自動でバス停・走行ルート・ダイヤを確定し、アプリに通知される仕組みとなっている。送迎は、各地域で提携するタクシー会社が担当し、hab(株)の乗降サポートスタッフが助手席で子どもの対応をする。また、当サービスは、子ども達だけでタクシーの相乗りが可能でありながら、専用マイページから現在の位置のほか車内画像を確認することもできるため、利便性と安全性を両立させる仕組みとなっている。2023年3月には、「横浜市スタートアップ社会実装推進事業」の採択企画として、関内駅周辺で習い事に通う小学生14名を対象として実証実験を実施、同年12月~2024年2月にかけて実施した試験運行においては、運行エリアを鶴見区、中区、青葉区に拡大し、料金を片道500円としている。

 2023年3月の実証実験(小学生14名(のべ48名)が利用)に参加した保護者を対象としたアンケートでは、「サービスが有償でも継続利用したい」と回答した人が100%という結果となった。

 こうした取組みを通して、同社(及び同社が幹事を行うコンソーシアム)は、「誰もが諦めない世界を創る」をコンセプトに、「子どもの移動対応による様々な社会問題の解決」(①子育て層の送迎負担軽減による可処分時間向上、②家庭の経済的負担軽減、③子どもの習い事選択肢の多様化、④タクシードライバーの業務効率化)を目指すこととしている。

<実証実験の様子>
<実証実験の様子>

資料)hab(株)