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国土交通白書 2024

第3節 国土政策の推進

 国土形成計画は、総合的かつ長期的な国土づくりの方向性を示すものである。第三次国土形成計画(令和5年7月閣議決定)では、我が国が直面するリスクと構造的な変化を踏まえ、地方に軸足を置いたビジョンとして、目指す国土の姿に「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、そのための国土構造の基本構想として、広域レベルにおいては、広域圏の自立的発展と日本海側・太平洋側二面活用等の広域圏内・広域圏間の連結強化を図る「全国的な回廊ネットワーク」や、リニア中央新幹線等により三大都市圏を結ぶ「日本中央回廊」の形成等から、「シームレスな拠点連結型国土」の構築を図ることにより、地域の魅力を高め、地方への人の流れの創出・拡大を図ることとしている。また、国土の刷新に向けた4つの重点テーマとして、「デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成」、「持続可能な産業への構造転換」、「グリーン国土の創造」、「人口減少下の国土利用・管理」を掲げるとともに、これを支える横断的な重点テーマとして、「国土基盤の高質化」、「地域を支える人材の確保・育成」を位置付け、相互に連携しながら相乗効果を発揮できるように、統合的に取り組むこととしている。

 計画の実装に当たっては、地域生活圏の形成をはじめ、計画が描く将来ビジョンを国民全体で共有していくとともに、関係省庁とも緊密に連携しながら推進していく。また、令和5年10月に国土審議会の下に推進部会を設置し、検討を行っていく。二地域居住等の促進については、推進部会の下に設置された移住・二地域居住等促進専門委員会において検討を行い、中間とりまとめを公表した。今後はそれに基づき、計画の掲げる「地方への人の流れの創出・拡大」の実現を図っていく。

 国土利用計画(全国計画)は、国土の利用に関する基本的な方向を示すものである。第六次国土利用計画(全国計画)(令和5年7月閣議決定)では、人口減少や高齢化等の国土利用をめぐる基本的条件の変化と課題を踏まえ、「地域全体の利益を実現する最適な国土利用・管理」、「土地本来の災害リスクを踏まえた賢い国土利用・管理」、「健全な生態系の確保によりつながる国土利用・管理」等を基本方針とし、持続可能で自然と共生した国土利用・管理を目指すこととしている。

 第六次国土利用計画(全国計画)では、特に、中山間地域や都市の縁辺部において、人口減少により、従来と同様に労力や費用をかけて土地を管理し続けることは困難になることが想定されることから、地域の目指すべき将来像を見据えた上で、優先的に維持したい農地をはじめとする土地を明確化し、粗放的な管理や最小限の管理を導入するなど、地域の合意形成に基づき、管理方法の転換等を図る「国土の管理構想」を全国で進めることとされた。

 国土形成計画(全国計画)を基本とする国土形成計画(広域地方計画)については、新たな計画策定に向けて、令和5年7月に公表した基本的な考え方の議論を進め、6年度冬頃に中間とりまとめを公表する。