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国土交通白書 2024

第2節 観光立国の実現に向けた取組み

■2 観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に

(1) 観光関係の規制・制度の適切な運用及び民泊サービスへの対応

 平成30年1月に施行された「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」に基づき導入された地域通訳案内士制度について、市町村及び都道府県とも連携して育成を推進し、令和6年4月1日時点で42地域にて導入し、3,782名が登録されている。

 また、旅行サービス手配業の登録制度について、登録行政庁である都道府県等とも連携して制度周知を図り、同年4月1日時点で2,617社の登録がなされている。

 また、「住宅宿泊事業法」に基づき、健全な民泊を推進している。住宅宿泊事業の届出住宅数は、令和6年3月15日時点で23,142件となった。健全な民泊サービスの更なる普及に向けて、営業日数を効率的に集約するシステムの活用等により、違法民泊対策の実効性を向上させた。

(2) ポストコロナ時代を支える観光人材の育成・強化

 観光庁では、観光地・観光産業の高付加価値化、持続可能な観光地域づくりを進めることが必要であるとの認識の下、これからの時代に求められる新たな観光人材の育成に向けて、令和4年度に「ポストコロナ時代における観光人材育成ガイドライン」を策定した。令和5年度は、本ガイドラインに基づき、観光人材育成のためのプログラム開発の支援等を実施した。

(3) 観光地域づくり法人(DMO)を核とする観光地域づくりの推進

 観光地域のマネジメント及びマーケティングを担う観光地域づくり法人(DMO)を核とする観光地域づくりを推進するため、令和6年3月29日時点で348団体(登録DMOが302団体、候補DMOが46団体。)を登録するとともに、観光地域づくり法人に対する各種情報提供や観光地域づくり法人の体制強化、観光地域づくり法人が行う着地整備の取組みに対する支援を行った。また、「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを実現するため、地域主体で住民理解を深めつつ、観光で得られた収益を地域内で循環させることにより、地域の社会経済の活性化や文化・環境の保全・再生を図っていく。

(4) 観光遺産産業化ファンド等の継続的な展開

 観光庁では、観光庁と包括的連携協定を締結している(株)地域経済活性化支援機構(REVIC)が、地域金融機関等と連携して組成した観光遺産産業化ファンド等も活用し、関係事業者や関係省庁、自治体と連携して、地域の観光資源の磨き上げ等を図るための取組みを行った。

【関連リンク】

観光遺産産業化ファンド

URL:https://www.mlit.go.jp/kankocho/page06_000361.html

(5)戦略的な訪日プロモーション

 個人旅行再開等の水際措置の緩和以降、インバウンドの回復が進む中、日本政府観光局を通じ、コロナ禍を経た旅行者の意識変化を踏まえ、メディアやSNS、インフルエンサー等を活用し、戦略的な訪日プロモーションを実施している。

 また、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」開催を契機とした日本各地の魅力発信や、持続可能な観光、消費額拡大、地方誘客促進をキーワードとした、国・地域ごとのニーズを踏まえたきめ細やかなプロモーションに取り組んでいる。

(6)MICE誘致の促進

 MICEの更なる誘致に向けて、MICEの誘致・開催に意欲的な地方都市に対する誘致力の強化に向けた支援を実施するとともに、ユニークベニューの活用やエクスカーションの実施、テクニカルビジット等の開発を促進する実証事業を実施した。さらに、MICE誘致の基盤整備のために、国際会議開催の際のCO2排出量を数値化するための算出モデルの作成、ポストコロナにおけるMICEの総消費額及び経済波及効果の算出に向けた調査、MICE施設におけるコンセッション導入に向けた支援に取り組んだ。

(7)ビザの戦略的緩和

 インバウンド需要の回復に向けて、今後のビザ緩和の実施について関係省庁間で検討を実施し、2024年3月には国際的なリモートワーカー(いわゆる「デジタルノマド」)のための新たな在留制度を創設した。