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国土交通白書 2024

第5節 危機管理・安全保障対策

■4 安全保障と国民の生命・財産の保護

(1)北朝鮮問題への対応

 我が国では、「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法」に基づき、すべての北朝鮮籍船舶、北朝鮮の港に寄港したことが確認された第三国籍船舶及び日本籍船舶並びに国際連合安全保障理事会の決定等に基づき制裁措置の対象とされた船舶が入港禁止措置の対象とされているが、令和5年4月7日の閣議において、国際情勢にかんがみ、当該入港禁止措置の期限を7年4月13日まで延長することが決定された。

 国土交通省・海上保安庁では、本措置の確実な実施を図るため、これら船舶の入港に関する情報の確認等を実施しているほか、関係行政機関と緊密に連携し、「国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法」に基づく対北朝鮮輸出入禁止措置の実効性確保に努めている。

 国土交通省・海上保安庁及び気象庁では、累次の北朝鮮関係事案の発生を踏まえ、関係省庁との密接な連携の下、即応体制の強化、北朝鮮に対する監視・警戒態勢の継続をしているところであり、弾道ミサイル等発射事案や核実験においても、関係する情報の収集や必要な情報の提供を行うなど、国民の安全・安心の確保に努めている。特に、北朝鮮の弾道ミサイル等が我が国周辺に発射された場合等には、我が国周辺の航空機や船舶に対して直接、又は、事業者等を通じて迅速に情報を伝達し、注意を促すこととしている。

(2) 国民保護計画による武力攻撃事態等への対応

 「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」及び「国民の保護に関する基本指針」を受け、国土交通省・観光庁、国土地理院、気象庁及び海上保安庁において「国民の保護に関する計画」を定めている。

 国土交通省・観光庁では、地方公共団体等の要請に応じ、避難住民の運送等について運送事業者である指定公共機関との連絡調整等の支援等を実施すること、国土地理院では、地理空間情報を活用した被災状況や避難施設等に関する情報を関係省庁等と連携して国民に提供すること、気象庁では、気象情報等について関係省庁等と連携して国民に提供すること、海上保安庁では、警報及び避難措置の指示の伝達、避難住民の誘導等必要な措置を実施することを定めている。

 また、国民保護や部隊の展開、災害時の対応等において、自衛隊・海上保安庁の能力を最大限発揮するため、多様な空港・港湾を平素から円滑に利用できることが重要であり、国土交通省・海上保安庁としても、令和4年12月に策定された「国家安全保障戦略」に基づき、関係省庁と連携して、「特定利用空港・港湾」において、民生利用を主としつつ、自衛隊・海上保安庁による円滑な利用にも資するよう、必要な整備や既存事業を促進するなど、総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラの整備に取り組んでいる。