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国土交通白書 2024

第2節 デジタル技術の活用によるイノベーションの推進

■2 自動運転の実現

 国土交通省では、交通事故の削減や高齢者の移動支援等に資する自動運転の実現に向けて、「環境整備」、「技術の開発・普及促進」及び「実証実験・社会実装」の3つの観点から取組みを進めており、特に、自動運転移動サービスについては、2025年度目途に50か所程度、2027年度までに100か所以上の地域での実現を政府目標に掲げ、施策を講じている。

 「環境整備」については、自動運転の国連基準の議論を主導するため、令和5年から国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)副議長を欧州以外の国で初めて我が国が務めている。令和5年4月には、道路交通法の一部を改正する法律が施行され、レベル4に相当する運転者がいない状態での自動運転を可能とする制度が創設された。令和5年10月には、経済産業省と合同で「レベル4モビリティ・アクセラレーション・コミッティ」を立ち上げ、大規模かつ複雑な交通環境での新たな無人自動運転移動サービスの早期実現に向け、事業者及び関係省庁間での適切な情報共有の促進等を実施している。さらに、自動運転に対応した区画線の要件案や、車載センサでは検知困難な前方の道路情報を車両に提供するための仕様案の作成に向け、官民連携の共同研究を進めている。

 「技術の開発・普及促進」については、衝突被害軽減ブレーキ等の安全運転支援機能を備えた車「安全運転サポート車(サポカー)」の普及啓発、高速道路の合流部等での情報提供による自動運転の支援、自動運転を視野に入れた除雪車の高度化等に取り組んでいる。

 「実証実験・社会実装」については、国土交通省及び経済産業省において「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」を実施しており、令和5年5月には、福井県永平寺町において国内で初めてレベル4での無人自動運転移動サービスを実現した。

 また、自動運転の社会実装に向けた取組みを行う地方公共団体に対して、地域公共交通確保維持改善事業(自動運転事業関係)により62件の支援を行うなど、自動運転の普及・拡大に向けた取組みを進めている。