表−2:ISO 香港・シンガポール・ニュージーランド・オーストラリア調査結果概要
【認定・審査登録機関】
国名 | 調査先機関 | 事業内容等 | ISO9000sの取り組み | ISO14001の取り組み |
香 港 |
香港品質保証局 (HKQAA) |
・香港政庁が出資し、1990年に設立された第三セクターの審査登録機関。 ・ISO9000s、ISO14001の審査登録業務を実施。 ・ISO9000sの審査員は30名、ISO14001の審査員は5名。 |
・総審査登録件数約800件のうち約400件が建設会社。このうち、複数の事業所で認証取得をしている社もあるため、認証取得建設会社数は約300社。 ・政府関係機関(例えばHA;香港政庁住宅局、WB;香港政庁工務科)自らが認証取得に取り組んでおり、これまでに数機関の審査登録を実施。 ・WBは1996年10月より5千万H$(約9億円)以上の工事の入札条件にISO9002の認 証取得を要求。1996年4月よりすべてのコンサルタント業務の入札条件にISO9001の 認証取得を要求。入札条件として認める審査登録機関を、従来はHKQAAだけ としてきたが、現在はBSI-QA(英国),DNVQA(英国),SGS(英国),BVQI(英国), LRQA(英国)など5機関を認めている。 ・英国の審査登録機関BSI-QAと相互承認のMOU(Memorandum of Understanding)を締結しており、今後SGS(英国)、DQS(ドイツ)等とMOUを結ぶ予定。 |
・現在1件の審査を実施中。年内に10件の審査登録を行う予定。 ・ISO9000sとISO14001の両方の取得を企業に推奨するとともに、一括して審査する手法について検討中。 |
シ ン ガ ポ − ル |
生産性規格局 (PSB) |
・1996年に通商産業省の管轄下に設立された。国内工業規格の確立等の業務とともにISO9000s、ISO14001の審査登録業務を実施。 ・ISO9000sの審査員は50名(うち5名が建設関係)、ISO14001の審査員は10名。 |
・総審査登録件数約1,500件のうち約100件が建設会社。 ・BSI-QA(英国)、JQA(日本)、AFAQ(フランス)、SQS(スイス)、UL-USA(米国)等の審査登録機関と基本的な枠組みについてMOUを交わしている。 ・シンガポール政府は国内の中小建設会社(年間受注高1,500万S$(約14億円)以下)の認証取得を促すため、認証取得に要した外部コンサルタント費用の70%又は4万S$(約360万円)のいずれか少ない方の額を補助している。 |
・現在7件の審査登録を実施。シンガポール国内では14社が認証を取得しており、このうち3社が建設会社。この他、建設会社11社が審査登録の申請済み。 ・シンガポール政府は中小建設会社に対してISO900Osと同様の外部コンサルタント費の補助に加え、認証に必要な資金のうち6千S$(約54万円)の補助を行っている。 |
建設産業開発庁 (CIDB) |
・1984年に国土開発庁の管轄下に設立された。ISO9000sの建設分野の審査登録 業務をPSBと共同で実施するとともに,建設業者の登録管理、工事評価管理システム(CONQUAS)の運営等の業務を実施。 ・ISOO9000sの審査員は30名。 |
・総審査登録件数約150件。 ・シンガポール政府は、1999年7月から3千万S$以上の公共工事にISO9000sの認証取得を義務付ける予定。 ・同時に設計業務についても、ISO9001を入札条件とする工事に関する業務についてはISO9001の認証取得を義務付ける予定。 ・入札条件として認める審査登録機関は、CIDBもしくは、CIDBとMOUを交わした機関(今のところPSBだけ)からに限定する予定。 |
・建設業にISO14001を普及させるために、審査登録業務の実施を検討中。 |
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ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド
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International Certification Limited (ICL) |
・オークランドに本拠地を置く民間の審査登録機関(JAS-ANZから認定を受けている)。1994年設立。 ・ISO9000s、ISO14001の審査登録業務を実施。 |
・ニュージーランド全体での総審査登録件数2,200件のうち建設業関連は約140件。 ・ICLの総審査登録件数は約130件。 |
・企業の認識は高いが取得の動きは緩慢。中央政府の環境庁による法規制が厳しいため、これを満足する企業活動が行われている。 ・ICLは3件の審査登録を実施。 ・今後ISOを取得しようとする企業には、ISO9000sとISO14001の同時取得のニーズが高まっている。 |
オ − ス ト ラ リ ア |
オーストラリア・ ニュージーランド連携認定機関 (JAS-ANZ) |
・1991年オーストラリア・ニュージーランド両政府によって設立された認定機関。 |
・19機関の審査登録機関を認定。認証登録件数は13,000件で、そのうち建設関連は約1,300件、政府関連機関は約60件。 |
・8機関の審査登録機関を認定。認証登録件数は約30件。 ・ビクトリア州と西オーストラリア州では、ISO14001導入のインセンティブとして認証取得企業に対しライセンスフィーの低減や工場等の検査の軽減を実施。 |
Quality Assurance Services (QAS) |
・オーストラリア規格協会が100%出資しているオーストラリア最大の審査登録機関。 ・ISO9000s、ISO14001の審査登録業務を実施。 ・審査員の20〜25%が女性である。 |
・総審査登録件数約5,500件。このうちオーストラリア国内は約3,800件、政府関連機関は約40件(ビクトリア州については21の政府関連機関が取得)。 ・政府関連機関における取得のメリットとして、効果的なマネジメントシステムの構築運営の効率化による経費の削減があげている。 |
・60件の審査登録を実施。このうち約50%は政府関係機関。 ・オーストラリア連邦政府はシドニーオリンピック工事において、すべての供給者に対しEMS(環境マネジメントシステム)の構築を求めている。 ・ISO9000sとISO14001の同時取得を目指している機関が多く、政府関連機関が同時取得第1号となる予定。 |
【公共事業執行機関】
国名 | 調査先機関 | 事業内容等 | ISO9000s 自らの取り組み | ISO9000s 公共工事への適用 | ISO14001 自らの取り組み | ISO14001 公共工事への適用 |
香 港 |
香港政庁工務科 (WB) |
・住宅建設以外のすべての公共工事を実施。7つの技術局(建設、土木、治水・下水、E&M、高速道路、新界の開発、水道)からなる。 ・97年事業費:152億H$(約2,600億円) |
・7つの技術局すべてでISO9001の認証取得。 ・導入理由:発注者と受注者のマネジメントシステムの共有、自らの取得による民間企業の取得促進、自ら行う設計の過誤や手戻りの防止。 |
・1996年4月よりすべてのコンサルタント業務の入札条件にISO9001の認証取得を要求。 ・1996年10月より5千万H$(約9億円)以 上の工事の入札条件にISO9002の認 証取得を要求。 ・入札条件として認める審査登録機関を、従来はHKQAAだけとしてきたが, BSI-QA(英国),DNVQA(英国),SGS(英国),BVQI(英国),LRQA(英国)など5機関を認めている。 |
・ISO9000s適用工事に環境計画書を要求することを検討中。 |
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ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド |
ノースショア市 |
・人口約17万人、面積約125km2 ・年間予算:一般会計約1億2千万NZ$ (約96億円) |
・組織の効率化を目的に全部門がISO9000sに取り組み中。 ・公園・環境課、財産サービス課が認証取得済。 |
・入札条件とはしていないが、書類審査時の評価項目の1項目とし、ISO9000s取得が有利な評価となっている。 |
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オ − ス ト ラ リ ア |
ニューサウスウエールズ州 公共事業省 |
・州政府の道路整備以外の公共工事(学校、病院、水処理場など)を実施 ・事業費:約13億A$(約1,300億円) ・職員数:約2,700人 ・BOT(Build Operate Transefer)による公共工事をを積極的に行っており、BOTのガイドラインを策定。 |
・自らの組織の効率化、受注者とのマネジメントシステムの共有等を目的に全部門でISO9000sに取り組み中。 ・8部門中4部門が認証取得。 ・導入効果:行政サービスの品質の向上目的の明確化による職員の意識向上 |
・300万A$(約3億円)以上の工事のうちリスクが大きいものにISO9000sでのマネジメントを要求。リスクの小さいものは、ISO9001の20項目のうち
15項目でのマネジメントを要求。 ・適用効果:検査費用の減少。 |
・州の環境目標に沿って環境管理を実施、工事にも反映。 [2000年までに副産物を60%削減(95策定)] [2005年までに15%の省エネ実施CO2換算(96策定)] ・シドニーオリンピックは「環境にやさしオリンピック」をスローガンにしており、関連部署でISO14001の認証を取得する予定 |
・公共工事の発注にあたり1997年7月 よりISO14001に沿った環境管理計画 書の提出を受注者に求める予定。 ・州政府は、今後ISO9000s,ISO14001,労働安全衛生を統合したシステムを要求することを検討中。 |
西オーストラリア州 契約管理局 |
・州政府の建築物に関する規則の構築、一般公共工事への指針の作成 ・事業費:約3億5千万A$(約350億円) ・職員数:約350人 |
・自らISO9002の認証取得(1995年)。取得範囲は入札・契約手続。 ・導入メリット:役割分担の明確化、入札関連訴訟へのリスクマネジメント。 |
・1996年10月から認証取得を入札条件化。コンサルタントにはISO9001を要求。 ・検査の簡略化を検討中。 |
・工事によって、環境管理計画書の提出を要求。 |
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西オーストラリア州 道路局 |
・西オーストラリア州の幹線道路の建設、管理メンテナンスを実施。 ・事業費:約3億5千万A$(約350億円) ・職員数:約1,500人 |
・ISO9001を7件、ISO9002を2件、計9件の認証を取得。 ・導入理由:パートナーシップの考えに基づいた品質システムの共有、民間企業への導入促進。 |
・1996年から100万A$(約1億円)以上の工事の入札条件にISO9000sの認 証取得を要求。 ・適用効果:検査項目の減少、責任範 囲の明確化等。 |
・公共工事への導入を検討中。 |
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マニンガム市 |
・行政改革の一環として、市町村の合併により1994年に設立された。 ・人口約12万人、面積約114km2 ・強制競争入札(CCT;公共・民間による競争入札により受注者を決定)を 導入。 |
・市の全部局のサービスを対象にISO9001の認証を取得(1996年)。 ・導入理由:公共サービスの質の向上と自らの組織の効率化、競争力の向上。 ・導入効果:継続的改善によるサービスの向上、組織の活性化等。 |
・小規模工事が多いためISO9000sは要求せず、品質計画書の提出を要求。 |
・自ら環境部門で1998年に認証取得を予定 |
【建設企業】
国名 | 調査先機関 |
事業内容等 |
ISO9000sの取り組み |
ISO14001の取り組み |
シ ン ガ ポ − ル |
SATO KOGYO CO.,LTD. (現地日本企業) |
・認証取得の動機は、1999年にISO化されることによる。 ・発注者と受注者の役割分担と責任が明確化され、結果として、規制緩和となっている。 |
・ISO9002を取得 |
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オ − ス ト ラ リ ア |
OBAYASI CORPORATION (現地日本企業) |
・エイボントンネル工事(受注金額約20億円) 等の実績がある。現在オリンピックスタジアム を施工中。 |
・土木部門でISO9001の認証取得。建築部門は、認証取得準備中。 ・導入理由:西オーストラリア州道路局の工事において、入札条件として認証取得を 要求されたため。 ・導入効果:手順の明確化、手戻りの減少。 ・オーストラリアでは、認証取得は常識であり、ISO9000sを用いてどのようにマネジメント するかが問われる。 |
・認証取得に向けて取り組み中。 ・ほとんどの工事で環境管理計画書の提出を求められる。 |
マルチフレックス社 |
・建築を中心とした大手のゼネコン ・総受注高:6億A$(約600億円) ・従業員数:700人 |
・各州の全支店でISO9000sの認証を取得。 ・導入理由:顧客からの要求、公共工事での入札条件化。 ・導入効果:手戻りの減少、設計段階における過誤の減少。 ・協力業者にシステムを理解させるのに労力を要する。協力会社が品質システムを構築することが必要。 |
・品質システムと統合して環境マネジメントシステムを構築している。認証の取得に関しては検討中。 ・ニュー・サウス・ウエールズ州では、環境管理計画書の提出が求められており、今後、ISO14001が要求されると想定している。 |
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コンクリート・ コンストラクション |
・豪州では歴史がある大手ゼネコン ・総受注高:7億A$(約700億円) ・従業員数:400人 |
・全支店でISO9001の認証を取得。 ・導入理由:品質向上、自己改善、入札条件化。 ・一定規模以上の公共工事及び民間工事の60%でISO9000sによるマネジメントが要求 されている。 ・導入効果:競争優位性の確保、手戻り工事の減少、工期短縮。 ・協力業者にシステムを理解させ円滑に運営することに労力を要する。協力会社がISO9000sを導入していくことが課題。 |
・企業の社会的責任と考え、環境マネジメントシステムを構築している。認証取得の予定はないがいつでも対応可能。 |
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