(1) 装置に対する考え方 |
- 従来のハード的な技術と形がないIT的な技術及び人間の文化的活動とハードウエア等、違う領域のもの同士をつなぐきっかけや役割を担うものも、装置としてありえると考える。
- その考えのもと、例えば、産業振興のトリガーとなる装置づくりなどを、実際に建築を通じて行っている。
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(2) IT技術との複合装置 |
a) 北上川の土手の中に埋めた建物
- 土手に埋もれた構造で、その上は自転車や人が歩ける道路となっており、従来の土木と建築の境界線を廃した施設。
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建物は、水門施設の他、北上運河交流館として利用されている。運河の資料は、いわゆる展示物でなくゲーム等のインターフェイスとなっており、子供たちがゲーム感覚で運河について学べるようになっている。IT的な技術との複合は十分可能である。
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(3) 町の産業や産物を世界に知らしめた装置 |
a) 和紙で作った建物
- 世界でもカリスマで通る地元の和紙職人と共にほとんどの開口を和紙でつくった。
- 海外からの見学者が多数来訪し、町の産業を世界に知らしめるトリガーの役割を果した。
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b) 芦野石の美術館
- 栃木県の那須の芦野地区において、建築用の石材としてはあまりポピュラーでない地元産の芦野石を使い、地元の石屋と協力して4年かけて「石の美術館」を建てた。
- この建物が、イタリアの「国際石の建築賞」を日本で始めて受賞し、この石の存在を世界に知ってもらうことが出来た。
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c) 栃木県馬頭町の八溝杉で作った広重美術館
- 外材におされ気味だった地元の八溝杉を使い美術館を建設した。
- この建物も、フィンランドの「国際木の建築賞」を受賞し、八溝杉を世界に知らしめると共に産業振興のトリガーの役割を果す装置となった。
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(4) 技術振興と国際交流のきっかけとなる装置 |
a) 中国のバンブーハウス
- 中国の職人と一緒に、竹をコンクリートの型枠として利用した建物を作った。
- 北京オリンピックのCMの冒頭に、この建物から万里の長城を眺めた絵が使われており、中国では「バンブーハウス」として広く知られるようになった。
- 日本の竹の処理技術を導入したことにより、新しい技術振興と国際交流に繋がった。
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b) 山口県豊浦町の日干しレンガ
- この町で忘れ去られていた日干し煉瓦の技術を使い、地元の職人と一緒に、重要文化財の阿弥陀仏を治める小さな美術館を作った。
- この町の伝統的な技術を復興させるきっかけとなった。
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(5) 文化の復興 |
a) 東京都内の木の建築
- 表参道のルイ・ヴィトン・ジャパン本社の外壁全面に木材を使用した。
- 日本では、まだ木が非常に安いため、建築費は通常のオフィスビルとほとんど変わらない。
- 都市の中で戦後破壊されてしまった木の文化を復興させる装置になると思う。
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