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オピニオン
2005年1月31日
 
第5回 「次世代の国土や都市の装置を考える懇談会」議事要旨
 

1.國領委員プレゼンテーション

(1)情報ネットワーク分野でこの10年に何が起こったか。
  • 情報ネットワークの分野では基本的に末端から情報を発信するコストが劇的に下がった。
  • 集まっている情報をばらまくコストが下がり、アンバランスが生じている。
  • 意思決定なんかをする場合には、情報を中央に集めて、優秀な情報処理能力、人間を中央に集めて、そこで集中的に情報を処理して、結論だけばらまくというようなことが合理的だった。
  • RFID、電子タグを活用し、再編集するコストが劇的に下がってきていることから、これをどういうふうに活用できるかという話が一つの大きなテーマとなっている。

(2)地方ネットワークインフラの整備

  • ブロードバンドとかインターネットの利用は進んでおり、特に地方のネットワークインフラをどう整備するかが問題になっている。
  • 「公⇔私」と「官⇔民」という住民参加型で、プライベートイニシアチブを生かしていきながら、地域の基盤というのを構築していくことが必要である。
  • 一人一人にグローバルな情報を提供し、ミクロな観点で判断することが可能な環境をフルに活用し、地域社会をどうやってつくっていくかがテーマとなる。

(3)ネットワークのガバナンス問題

  • ネットワークのガバナンス問題は、迷惑メール、匿名性の問題そして無秩序さといった、開放的であり参加型であるがゆえに、どうやって統治できるかというのが非常に大きな課題になっている。
  • 大きな組織でガバナンスする時代であったが、現在では小さくても強力なテクノロジーをみんなが持っている状況であることから、それらを統治するプラットフォームを構築する必要がある。
  • 集権的、コマンド・アンド・コントロールによって、中央で統制するタイプの組織のあり方から、現場の力を生かす構造、情報が大量に流れる状況においては、組織をどう構築すれば、より創造性が生きる構造になるかがテーマとなる。

(4)地域の中の信頼関係

  • 地域において情報化が非常に進展し構造の共通点が見られる状況において、人が地域におけるリソースを結合し地域の中に信頼関係をつくっていくことが重要である。
  • インターネットの欠陥である信頼関係の欠如、秩序が守れない、ただ乗りするというネガティブな特徴を、地域のコミュニティーの存在によって防止することができる。
  • 地域の中におけるインセンティブ、具体的な経済的なメリットが一体何であり、それをどうやって内部化するかという仕掛けづくりが求められる。
  • 技術を上手に設計していく中で、協働の空間をどうやってつくり込んで、その上で我々が実現したい社会のゴールをどうやって実現できるかを考える必要がある。
以上
 



2.椎野委員プレゼンテーション


(1)リヴァースマニファクチャリングの欠乏

  • 日本、世界各国のどこでも、一生懸命たくさんつくって、それを使い終わったら捨てるという一方的なロジスティックの流れであった。
  • 地球などを見るともともと非常によく循環しており、太陽光線を使って植物がCO2と窒素を使ってたんぱく質をつくり、それを動物が食べそして死んだ後はバクテリアがまたもとの窒素とCO2に戻すように広く循環している。人間がやっているものだけ、つくり続けて、もとに戻すことリヴァースマニファクチャリングが欠けていた。

(2)産業廃棄物における建設業の課題

  • 現在、スーパーマーケットなどの量販店などを中心に、高度にITを使って複雑な流通構造を単純化する整理が盛んに行われている。建設業界は、まだあまり進んでないことから改善余地が多く、コストの低減の余地が残っている。
  • 建設副産物は、新築工事中に発生する残材と解体した建築物の解体材の2つがあり、どううまく循環させていくか、リサイクルしていくか、リユースしていくかということがテーマである。
  • 建設業から廃棄される廃棄物の量は、産業廃棄物が大体年間4億トン、そのうち20%が建設業から出たものである。最終処分場に捨てられる4,500万トンうちの約28%は建設業に由来し、発生総量の20%に比べて、捨てられる28%の方が大きく、ほかの産業に比べ改善の余地が多い。
  • 廃棄する場所がなくなっていることも問題であり、年間で廃棄されている量と残存の廃棄物の処理能力の量を割ってみると4年分ぐらいしかない。不法投棄の60.8%が建設業のものと言われているおり課題になっている。

(3)ごみは分けると資源になる

  • ごみは、まざってしまうとごみであるが、よく分けると資源である。
  • 解体材料についても、特に新築工事で発生する残材に関しては、発生した段階では非常にきれいなものも多く、うまく分別すればもう一回資源としてつくり直すことが容易である。
  • 現場で徹底的に分別し、それをたくさんの現場が共同で一緒に巡回して回収し、静脈系の物流センターというのをつくり、そこからそれぞれの再資源化メーカーへ品目別に運ぶことにすればいい。
  • 廃掃法では、共同で回収してはいけないことになっていることが問題である。
以上
 


3.フリーディスカッション


(1)今のシステムの信頼性をどうやって担保して行くか。

  • 同じ制度、同じ取り組みをやっても、地域によってうまくいくところとうまくいかないところで非常に大きな格差が出る。その地域において人間関係とか文化みたいなものがどれぐらい根づいていて、受けとめたときにちゃんと自律的に秩序形成をしてどれぐらいするということである。
  • コネクターと呼ばれる人、地域におけるリーダーのような方々が、いろんなグループの中の垣根を取っ払ってイニシアチブを起こされて、そこに信頼の関係みたいなことをつくり上げていくことが必要である。
  • コネクターと呼ばれる人が経済的な収益を上げ、還元していくことによって、参加する人たちとのインセンティブを保ち続けていると、逆にまた信頼関係が蓄積されていく。
  • コネクターの方々が孤立して、エネルギーが切れて墜落するのを防ぐことが大事であり、情報術を活用した横の連携をつくる動きが活性化している。

(2)「イトコ」仕掛けによる価値再生産

  • ネットワークというのは非常にオープンになってしまうと、それが非常に拡散し効果も薄れてくる。その地域という地縁的なものをあるネットワークの限界に据え、ゲマインシャフトとゲゼルシャフトを一体化していくには、どんな商品だったら成り立のか。
  • 情報産業がこの10年間ぐらいに起こった現象として、すごく発達のバランスが悪かった。人間が足を引っ張っており、人間の能力を最大活用するところがポイントになる。
  • 機能性を求めるところから心の充足みたいなものを求め、ハードウエアに対しても機能性を求めることから、心の充足、精神的なものを求める度合いというのが高まっている。だれかが中央で監視していて完全にコントロールできるほどの状態はもうあり得ない。
  • 意思決定とかリーダーシップが非常に重要になってきているが、日本の産業界は、集団的リーダーシップで今までやってきているので、日本はリーダーシップとかリーダーが形成されていないというところで今非常に紛糾している。
  • 地域における基盤は大学である。開かれた生涯学習基盤と、その地域に寄与できる人材とか、能力とか、それから組織の展開論とか、雇用の促進も含めて、大学がこれから強力な組織における中核的な機能になっていく。

(3)住民参加等にかかわる都市計画方の改正について

  • 規制緩和が当たり前になってきて、町々ではマスタープランが一番、第一位にあるというわりには思想が全くなく自治体がそういうものを持つべきである。21世紀という人口減少化社会を向かえ、他国に先んじて都市を経営する効率を考える必要がある。
  • 都市計画については、行政でもないし、デベロッパーでもない、市民的なプランナーが必要である。

(4)技術とモラルの問題

  • 技術屋モラルの問題であり、1回つくったものを壊して、その次にリサイクルしてと、そういうシステムはシステムでいいが、1個1個のパーツがもう既に問題である。
  • 人間の社会とか人間の環境、あるいは国土のありよう、暮らしというもの、そういうものの見識をだれが示すのか。都市計画で提案型とか参加型にしてどんどんしているというのは、見識を捨てたのではないか。
  • 心の問題、精神の問題が一番のポイントである。建材がどんな履歴でつくられたかという情報を、解体されるときまで保存していないと意味がない。
以上
 
「次世代の国土や都市の装置を考える懇談会」について




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