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国土交通省総合政策局労働資材対策室
課長補佐 永 田(内線24863)
資材係長 粟 津(内線28864)
電話番号 (03)5253-8111(代表)
(03)5253-8283(夜間直通)
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1.調査の概要
(1)調査の目的
本調査は、主要建設資材及び労働力の建設工事における原単位を把握することにより、その需要構造を明らかにし、もって建設資材供給の安定化等、建設工事の円滑な推進を図ることを目的として実施しているものである。
本調査では、各種の主要建設資材及び労働力のそれぞれについて、以下の2種類の原単位を需要時期別(以下、時期別原単位という)及び年間(以下、年間原単位という)について算出している。
・ 金額原単位:請負工事費(発注者よりの支給資材の評価額を含む。以下同じ。)100万円あたりの投入量
・ 面積原単位:建築工事において、延べ床面積10uあたりの投入量
(2)調査経緯
原単位は、施工技術の進歩・合理化、新工法の開発、建設資材の品質向上及び二次製品化の進展等、及びこれらに伴う生産性の向上等によって、経年的に変化する。
このため、昭和49年度工事を対象に1回目を実施し、以後、実態に即した原単位の把握を行っている。
今回の調査は、平成12年度に受注された工事を対象として、平成13年度に実施したものであり、総務省の承認統計として実施している。
なお、年間原単位については平成9年度、時期別原単位については平成3年度以来の調査である。
(3)調査の方法
調査方法については、図−1のとおりである。
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調査対象工事の抽出 |
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予備調査
(建築のみ)
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→
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調査対象
工事抽出
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調査票の送付・回収及び審査 |
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調査票の
送付回収
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→
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調査票の
審 査
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原単位の算出 |
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母集団の
復 元
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→
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原単位の
算 出
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図−1 原単位調査の実施手順
@)調査対象工事の抽出
調査年度に受注された工事の中から、建築工事、土木工事の別に、工事の施工地、種類及び規模毎にそれぞれの抽出数及び抽出率を定めて調査対象工事の抽出を行う。
@ 建築工事
予め約2,900事業所について予備調査を行い、その調査結果の中から約5,000件を抽出する。
A 土木工事
国土交通省総合政策局建設調査統計課が実施している受注動態統計(うち土木分)のデータから、約5,000件を抽出する。
A)調査票の送付・回収及び審査
抽出した調査対象工事を請負った各事業所(元請け)に対し、郵送により調査票を送付・回収する。回収した調査票については、記入内容を審査し、審査を通過したものを有効標本とする。
B)原単位の算出
得られた有効標本のデータから、以下の手順により、各主要建設資材及び労働力のそれぞれについて原単位を算出する。
@ 層原単位の作成
得られた有効標本のデータから、建築工事、土木工事のそれぞれについて、施工地、種類及び規模等の別毎に層原単位を作成する。
A 着工統計等による母集団の復元
作成した標本原単位の施工地、種類及び規模等の偏りをなくすため、建築工事については着工統計、土木工事については受注動態統計に基づき、金額原単位については請負工事費のシェアにより、面積原単位については延べ床面積シェアにより、それぞれ復元倍率を算出し、それを層原単位に乗じることにより、各統計の母団の原単位を復元する。
B 各統計区分に対応した原単位の算出
復元した母集団の原単位を基に、建築工事、土木工事のそれぞれについて、主要建設資材及び労働力の原単位を、以下により作成する。
・ 建築工事
建設投資推計、建築着工統計の各区分の別に応じ、建築物の使途、用途、構造、面積規模等それぞれの区分毎、及びそれらを総合したものについて作成。
・ 土木工事
建設投資推計、受注動態統計の各区分の別に応じ、事業種別、金額規模等それぞれの区分毎、及びそれらを総合したものについて作成。
表−1 原単位の算出区分一覧表
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建設投資推計 |
区分 |
建築工事
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@住宅・非住宅別
A政府・民間別
B地域別
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着
工
統 計
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@使途別
A用途別
B構造別
C面積規模別
D金額別
E地域別 |
土木工事
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@政府・民間別
A地域別
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受
注
動統
態計
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@事業種別
A公共・民間別
B金額別
C地域別
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2.調査結果の概要
(1)調査対象工事の抽出
平成12年度に着工された工事の中から建築工事5,014件を抽出した。また、同年度に受注された工事の中から土木工事5,318件を抽出した。
(2)有効標本件数
抽出した調査対象工事のうち、未回収記入漏れ等により無効となった工事を除く有効標本件数は、建築工事3,245件、土木工事3,764件で、全体の着工件数に対するカバー率は、それぞれ0.4%、1.1%となった。
表−2 調査対象工事件数結果一覧表
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部 門
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抽出件数
(A) |
回収数 |
有効標本数 |
平成9年度
全体着工件数
(D) |
カバー率
(C/D)% |
(B) |
(B/A)% |
(C) |
(C/B)% |
建築工事 |
5,014 |
3,761 |
75.0 |
3,245 |
86.3 |
*1
828,061 |
0.4 |
土木工事
|
5,318
|
4,433
|
83.4
|
3,764
|
84.9
|
*2
343,943
|
1.1
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*1:建築着工統計(建築部門)における着工棟数
*2:建設工事受注動態統計において、公共では住宅・非住宅以外、民間では建築以外の受注件数
(3)原単位算出結果
1)年間原単位
建設投資推計区分及び、建築着工統計区分(構造別)に対する原単位の算出結果は、以下のとおりとなった。
@)建設投資推計区分に対応する金額原単位
@ セメント
土木が建築を上回っている。これは、治山・治水、道路、鉄道・軌道等コンクリート構造物の多い工種の原単位が大きいことによる。
A 生コンクリート
土木が建築を上回っている。特に政府土木では、治山・治水、道路、鉄道・軌道、災害復旧等、現場での生コンクリート打設を必要とする工種で、需要が大きい。また、建築でも、非住宅での使用量は高い。
B 骨材・石材
土木が建築を大きく上回っている。これは、特に港湾・空港、土地造成等、公共土木工事での原単位が大きいことによる。
C 木 材
木材は、その多くが木造住宅の構造材として使用されているため、住宅建築で特に大きくなっている。
D 鋼 材
建築が土木を上回っている。これは、鋼構造のシェアが高い非住宅建築で原単位が大きいことによる。
E 瀝青材
土木が建築の約10倍程度となっている。これは、道路、維持補修等、公共土木工事での原単位が大きいことによる。
F 就業者
建築が土木を上回っている。これは、建築の住宅が他に比べ内部造作が複雑であることによる。
表−3 建設投資推計区分に対応する金額原単位(全国)
(請負工事費100万円当り)
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資 材・職種名
|
単 位
|
建 築 |
土 木 |
|
住 宅 |
非住宅 |
|
政 府 |
民 間 |
セメント
生コンクリート
骨材・石材
木 材
鋼 材
瀝 青 材
就 業 者
|
t
m3
m3
m3
t
t
人・ 日
|
0.94
2.57
3.96
0.50
0.53
0.01
11.46
|
0.86
2.37
3.55
0.72
0.38
0.01
12.75
|
1.08
2.91
4.67
0.13
0.78
0.02
9.24
|
1.36
3.11
14.34
-
0.42
0.10
10.01
|
1.46
3.35
15.55
-
0.43
0.12
9.62
|
0.99
2.14
9.45
-
0.38
0.05
11.56
|
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(注:1):資材については、加工品等に含まれているものを含む。
(例:生コンクリートに含まれるセメント、骨材)
(注:2):就業者については、全職種の合計。
A)建築着工統計区分(構造別)に対応する面積原単位
@ セメント・生コンクリート及び骨材・石材
生コンクリートの使用割合が高い鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄筋コンクリート造で原単位が大きく逆に生コンクリートをほとんど使用しない木造で原単位が小さい。
A 木 材
木造の原単位が大きい。また非木造の構造別内訳では、鉄骨造の原単位が鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造より小さいが、これは、鉄骨造で型枠用合板の使用量が少ないことや住宅比率が低く木製の内装材の使用が少ないためと考えられる。
B 鋼 材
鉄骨鉄筋コンクリート造及び鉄骨造で原単位が大きく、木造で小さい。
C 就業者
構造の違いよりむしろ、内部造作の多い住宅、逆に少ない工場及び倉庫という使途の違いが影響しているものと考えられる。
表−4 建築着工統計区分(構造別)に対応する面積原単位(全国)
(建築延べ面積10u当り)
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資 材・職種名
|
単位
|
建 築 |
|
木 造
(W) |
鉄骨鉄筋
コンクリート造
(SRC) |
鉄 筋
コンクリート造
(RC) |
鉄 骨 造
(S) |
セメント
生コンクリート
骨材・石材
木 材
鋼 材
就 業 者
|
t
m3
m3
m3
t
人・日
|
1.55
4.21
6.51
0.84
0.86
18.97
|
0.78
1.92
3.63
2.00
0.11
21.43
|
2.85
8.48
10.85
0.21 1.60
19.26
|
2.94
8.63
11.57
0.28
1.10
22.55
|
1.37
3.46
5.99
0.10
1.34
14.64
|
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(注1):資材については、加工品等に含まれているものを含む。
(注2):就業者については、全職種の合計。
(注3):補強コンクリートブロック造(CB)及びその他造(O)のウェイトは、0.1〜0.3%と少ないため、
表から除外している。
B)過去の調査結果との比較
前回(平成9年度)と今回(平成12年度)の調査結果について、原単位を比較した。このうち、建築総合の金額原単位(実質)と面積原単位および土木総合の金額原単位についての結果は以下のとおりである。
@ 建築総合金額原単位(実質、建築着工統計区分)
木材以外の原単位については、平成9年度より減少した。これは、建築工事費のうち設備工事費のウエイトが増加し建築主体工事に費やされる金額が相対的に減少しているためである。また、木材については、原単位の大きい木造のシェアが増加していることによるものである。
表−5 金額原単位(実質)(建築、全国)
(請負工事費100万円当り)
|
資材・職種名 |
単 位 |
平成9年度 |
平成12年度 |
セメント
生コンクリート
骨材・石材
木 材
鋼 材
就 業 者
|
t
m3
m3
m3
t
人・日
|
1.01
2.72
3.96
0.49
0.55
12.27
|
0.94
2.55
3.92
0.52
0.51
11.61
|
|
|
(注1):建設工事費デフレーターの「建築」の値による、平成12年度価格。
(注2):資材については、加工品等に含まれているものを含む。
(注3):就業者については、全職種の合計
A 建築総合面積原単位(建築着工統計区分)
面積原単位は建物の使途や構造等により決定し、今回の調査ではそれらの変化がない中で、セメント、鋼材が減少した。それは、木造のシェアが増加した分、鋼構造のシェアが減少したことによるためである。
表−6面積原単位(建築、全国)
(延べ面積10u当り)
|
資材・職種名 |
単 位 |
平成9年度 |
平成12年度 |
セメント
生コンクリート
骨材・石材
木 材
鋼 材
就 業 者
|
t
m3
m3
m3
t
人・日
|
1.63
4.34
6.42
0.83
0.90
20.51
|
1.55
4.21
6.51
0.84
0.86
18.97
|
|
|
(注1):資材については、加工品等に含まれているものを含む。
(注2):就業者については、全職種の合計
B 土木総合金額原単位 (建設投資推計区分)
セメント、生コンクリート、鋼材で需要量が増加に転じた。セメントについては、加工品としての需要よりむしろ、単体での需要が多く見られた。また、生コンクリートについては、民間工事で増加したため全体で微増となった。鋼材については、取引価格の下落が原単位増加の一因となったものと思われる。一方、その他の資材労働力は減少した。特に瀝青材は、排水性舗装の推進等、工事の高付加価値化により、原単位が減少したものと考えられる。
表−7 金額原単位(実質)(土木、全国)
(請負工事費100万円当り)
|
資材・職種名 |
単 位 |
平成9年度 |
平成12年度 |
セメント
生コンクリート
骨材・石材
鋼 材
瀝 青 材
就 業 者
|
t
m3
m3
t
t
人・日
|
1.17
2.96
15.32
0.36
0.14
10.87
|
1.36
3.11
14.34
0.42
0.10
10.01
|
|
|
(注1):建設工事費デフレーターの「土木総合」の値による、平成12年度価格。
(注2):資材については、加工品等に含まれているものを含む。
(注3):就業者については、全職種の合計
2)時期別原単位
建築着工統計区分(金額別、面積別)・受注動態統計区分(公共土木、民間土木)別に対する原単位の算出結果は、別表のとおりとなった。
3.その他
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