一般経済の動き (平成12年2月)


 我が国経済は、全体として需要の回復が弱く、厳しい状況をなお脱していない。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響から、景気は、緩やかな改善が続いている。企業の活動に積極性もみられるようになるなど、自律的回復に向けた動きが徐々に現れている。
 需要面をみると、個人消費は、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていないが、年末に比べれば持ち直した状態が続いている。住宅建設は、前年を上回っているが、年初の高い水準から、持家を中心に減少している。設備投資は、総じて下げ止まりつつある。製造業を中心に投資意欲に改善がみられ、持ち直しの動きが広がっている。公共投資は、第二次補正予算などの効果が現れているものの、全体としては高水準であった前年に比べればかなり下回っている。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 在庫は、ほぼ調整を終了し、生産は、緩やかに増加している。
 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 政府は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くため、経済新生対策を始めとする諸施策を推進する。

 個人消費は、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていないが、年末に比べれば持ち直した状態が続いている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で1月3.2%減の後、2月(速報値)は4.2%増(季節調整済前月比2.3%増)となった。

 住宅建設は、前年を上回っているが、年初の高い水準から、持家を中心に減少している。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で1月は16.4%増(前年同月比16.8%増)となった後、2月は10.3%減(前年同月比2.4%増)の10万1千戸(年率121万戸)となった。

 設備投資は、総じて下げ止まりつつある。製造業を中心に投資意欲に改善がみられ持ち直しの動きが広がっている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で1月は0.8%増(前年同月比21.2%増)の後、2月は2.5%減(同12.8%増)となり、基調は持ち直しの動きがみられる。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、このところ増加していたが、2月は季節調整済前月比25.2%減(前年同月比6.6%減)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、ほぼ調整を終了し、生産・出荷は、緩やかに増加している。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で1月0.2%増の後、2月(速報)は、精密機械、繊維等が減少したものの、輸送機械、一般機械等が増加したことから、3.0%増となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で1月1.9%増の後、2月(速報)は、生産財、耐久消費財等が増加したことから、0.5%増となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で1月0.8%増の後、2月(速報)は、石油・石炭製品、化学等が減少したものの、輸送機械、一般機械等が増加したことから、0.2%増となった。


 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、依然として厳しい。
 有効求人倍率(季節調整値)は1月0.52倍の後、2月0.52倍となった。完全失業率(季節調整値)は、1月4.7%の後、2月4.9%となった。

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で1月1.4%増の後、2月は5.5%増(前年同月比19.9%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で1月7.3%減の後、2月は5.8%増(前年同月比7.3%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、年末に減少した後増加がみられるが、基調としてはおおむね横ばいとなっている。
 2月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、9,358億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 総合は、前年同月比で1月0.9%の下落の後、2月は0.6%の下落(前月比0.1%の下落、季節調整済前月比0.1%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年4月14日)」による。〕



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