平成12年6月2日発表

一般経済の動き (平成12年3月)


 我が国経済は、全体として需要の回復が弱く、厳しい状況をなお脱していない。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きも徐々に現れており、景気は、緩やかな改善が続いている。
 需要面をみると、個人消費は、収入が低迷していることから、おおむね横ばい状態となっている。住宅建設は、年初の高い水準から減少しているが、マンションなどは比較的堅調である。設備投資は、総じて下げ止まりつつある。製造業を中心に投資意欲に改善がみられ、持ち直しの動きが広がっている。公共投資は、第二次補正予算などの効果が現れているものの、全体としては高水準であった前年に比べればかなり下回っている。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 在庫は、調整を終了し、生産は、緩やかな増加が続いている。
 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでの最高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 政府は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くため、日本経済の新生と大胆な構造改革に取り組む。

 個人消費は、収入が低迷していることから、おおむね横ばい状態となっている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で2月4.2%増の後、3月(速報値)は4.3%減(季節調整済前月比4.5%減)となった。

 住宅建設は、年初の高い水準から減少しているが、マンションなどは比較的堅調である。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で2月は10.3%減(前年同月比2.4%増)となった後、3月は2.3%増(前年同月比3.6%減)の10万3千戸(年率124万戸)となった。

 設備投資は、総じて下げ止まりつつある。製造業を中心に投資意欲に改善がみられ、持ち直しの動きが広がっている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で1月は0.8%増(前年同月比21.2%増)の後、2月は2.5%減(同12.8%増)となり、基調は持ち直しの動きがみられる。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、2月は季節調整済前月比25.2%減であったが、3月は再び増加し、季節調整済前月比36.8%増(前年同月比12.8%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整を終了し、生産・出荷は、緩やかな増加が続いている。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で2月3.3%増の後、3月(速報)は、電気機械、精密機械等が増加したものの、輸送機械、一般機械等が減少したことから、1.0%減となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で2月1.0%増の後、3月(速報)は、耐久消費財、生産財等が減少したことから、0.7%減となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で2月0.3%増の後、3月(速報)は、一般機械、金属製品等が減少したものの、電気機械、輸送機械等が増加したことから、0.7%増となった。


 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるものの、完全失業率がこれまでの最高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 有効求人倍率(季節調整値)は2月0.52倍の後、3月0.53倍となった。完全失業率(季節調整値)は、2月4.9%の後、3月4.9%となった。

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で2月5.5%増の後、3月は0.9%減(前年同月比14.1%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で2月5.8%増の後、3月は3.8%増(前年同月比15.1%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、年末に減少した後増加がみられるが、基調としてはおおむね横ばいとなっている。
 2月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、9,358億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 総合は、前年同月比で2月0.6%の下落の後、3月は0.5%の下落(前月比0.2%の上昇、季節調整済前月比0.1%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年5月12日)」による。〕



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