平成12年7月7日発表

一般経済の動き (平成12年4月)


 景気は、厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善が続いている。各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきている。
 需要面をみると、個人消費は、収入が下げ止まってきた中で、おおむね横ばいの状態が続いている。住宅建設は、マンションなどは堅調であるが、全体ではおおむね横ばいとなっている。設備投資は、持ち直しの動きが明確になっている。公共投資は、第二次補正予算の効果もみられるが、高水準であった前年に比べれば低調な動きとなっている。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 在庫は、調整を終了し、生産は、緩やかな増加が続いている。
 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きがみられるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、大幅に改善しており、3月決算では含み損などを処理する動きが広がった。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 公需により下支えされてきた我が国経済は、自律的回復に向けた動きが徐々に強まっているが、政府は、これを本格的な回復軌道に着実につなげていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くため、大胆に日本経済の新生と構造改革に取り組む。

 個人消費は、収入が下げ止まってきた中で、おおむね横ばいの状態が続いている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で3月4.3%減の後、4月(速報値)は1.3%増(季節調整済前月比5.9%増)となった。

 住宅建設は、マンションなどは堅調であるが、全体ではおおむね横ばいとなっている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で3月は2.3%増(前年同月比3.6%減)となった後、4月は0.4%減(前年同月比0.1%増)の10万3千戸(年率124万戸)となった。

 設備投資は、持ち直しの動きが明確になっている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で3月は4.9%減(前年同月比6.7%増)の後、4月は1.1%減(同13.4%増)となり、基調は持ち直しの動きが続いている。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、一進一退で推移しており、3月は季節調整済前月比36.8%増の後、4月は季節調整済前月比37.6%減(前年同月比11.7%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整を終了し生産・出荷は、緩やかな増加が続いている。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で3月2.4%増の後、4月は、輸送機械、一般機械等が増加したものの、電気機械、化学等が減少したことから、0.6%減となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で3月1.8%増の後、4月は、資本財、非耐久消費財等が減少したことから、0.6%減となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で3月1.3%増の後、4月は、輸送機械、化学等が減少したものの、食料品・たばこ、石油・石炭製品等が増加したことから、0.4%増となった。


 雇用情勢は、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きがみられるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 有効求人倍率(季節調整値)は、3月0.53倍の後、4月0.56倍となった。完全失業率(同)は、3月4.9%の後、4月4.8%となった。

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で3月0.9%減の後、4月は2.4%減(前年同月比12.0%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で3月3.8%増の後、4月は7.0%減(前年同月比4.7%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、基調としてはおおむね横ばいとなっている。
 4月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、9,055億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 総合は、前年同月比で3月0.5%の下落の後、4月は0.8%の下落(前月比0.2%の上昇、季節調整済前月比0.3%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年6月20日)」による。〕



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