平成12年8月4日発表

一般経済の動き (平成12年5月)


 景気は、厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善が続いている。各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきている。
 需要面をみると、個人消費は、収入が下げ止まってきた中で、おおむね横ばいの状態が続いている。住宅建設は、マンションなどは堅調であるが、全体ではおおむね横ばいとなっている。設備投資は、持ち直しの動きが明確になっている。公共投資は、堅調であった前年に比べれば低調な動きとなっている。輸出は、基調としてはアジア向けを中心に緩やかに増加している。
 生産は、緩やかな増加が続いている。
 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きもみられる。
 企業収益は、大幅に改善している。また、企業の業況判断は、業種や規模によってはなお厳しいが、全体としては改善が進んでいる。
 我が国経済は、これまで公需により下支えされてきたが、政府としては、景気の下支えに万全を期すため、速やかに公共事業等予備費を使用することとした。また、我が国経済を持続可能な自律的回復軌道に乗せることを目指して、日本経済の新生に向け、21世紀の新たな発展基盤となる経済社会の構築を図る観点から、日本新生プランの具体化のための新たな経済政策を取りまとめることとしている。

 個人消費は、収入が下げ止まってきた中で、おおむね横ばいの状態が続いている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で4月1.3%増の後、5月(速報値)は1.9%減(季節調整済前月比0.4%減)となった。

 住宅建設は、マンションなどは堅調であるが、全体ではおおむね横ばいとなっている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で4月は0.4%減(前年同月比0.1%増)となった後、5月は2.3%減(前年同月比1.1%減)の10万1千戸(年率121万戸)となった。

 設備投資は、持ち直しの動きが明確になっている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で4月は1.1%減(前年同月比13.4%増)の後、5月は4.5%増(同17.7%増)となり、基調は持ち直しの動きが続いている。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、一進一退で推移しており、4月は季節調整済前月比37.6%減の後、5月は季節調整済前月比11.0%増(前年同月比0.8%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、緩やかな増加が続いている。 在庫は、5月は減少した。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で4月0.6%減の後、5月(速報)は、輸送機械、一般機械等が減少したものの、電気機械、鉄鋼等が増加したことから、0.2%増となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で4月0.6%減の後、5月(速報)は、非耐久消費財、建設財が増加したことから、0.5%増となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で4月0.4%増の後、5月(速報)は、鉄鋼、化学等が増加したものの、窯業・土石製品、電気機械等が減少したことから、0.3%減となった。


 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きもみられる。
 有効求人倍率(季節調整値)は、4月0.56倍の後、5月0.56倍となった。完全失業率(季節調整値)は、4月4.8%の後、5月4.6%となった。

 輸出は、基調としてはアジア向けを中心に緩やかに増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で4月2.4%減の後、5月は2.0%減(前年同月比13.1%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で4月7.0%減の後、5月は11.2%増(前年同月比19.7%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、基調としてはおおむね横ばいとなっている。
 5月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、貿易収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、5,722億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 総合は、前年同月比で4月0.8%の下落の後、5月は0.7%の下落(前月比0.1%の上昇、季節調整済前月比0.2%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年7月14日)」による。〕



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