平成12年11月6日発表

一般経済の動き (平成12年8月)


 景気は、厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善が続いている。各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響はやや薄らいでいるものの、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが続いている。
 需要面をみると、個人消費は、収入が下げ止まってきたが、おおむね横ばいの状態が続いている。住宅建設は、このところ堅調であったマンションの着工が減少したが、全体ではおおむね横ばいとなっている。設備投資は、持ち直しの動きが続いており、製造業では投資意欲の強まりがみられる。公共投資は、前年に比べて低調な動きとなっている。輸出は、欧米向けに減速がみられるものの、アジア向けを中心に緩やかに増加している。
 生産は、堅調に増加している。
 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
 企業収益は、大幅な改善が続いている。また、企業の業況判断は、業種や規模によってはなお厳しいが、全体としては改善が進んでいる。一方、倒産件数は、やや高い水準となっており、負債金額の増加がみられる。
 政府は、経済を自律的な回復軌道に乗せるため引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を21世紀にふさわしい構造に改革する。このため、日本新生プランの具体化策等を中心とした新たな経済対策の策定を行い、それを踏まえ平成12年度補正予算の編成を行う。

 個人消費は、収入が下げ止まってきたが、おおむね横ばいの状態が続いている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で7月2.6%減の後、8月(速報値)は4.1%減(季節調整済前月比2.3%減)となった。

 住宅建設は、このところ堅調であったマンションの着工が減少したが、全体ではおおむね横ばいとなっている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で7月は8.0%減(前年同月比0.8%減)となった後、8月は4.7%増(前年同月比3.8%減)の10万2千戸(年率121.9万戸)となった。

 設備投資は、持ち直しの動きが続いており、製造業では投資意欲の強まりがみられる。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で7月は11.7%減(前年同月比17.9%増)の後、8月は26.6%増(同45.8%増)となり、基調は回復への動きがみられる。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、一進一退で推移しており、7月は季節調整済前月比16.1%減の後、8月は季節調整済前月比24.7%増(前年同月比2.0%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、堅調に増加している。在庫は、8月は増加した。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で7月0.9%減の後、8月(速報)は、石油・石炭製品、繊維が減少したものの、一般機械、電気機械等が増加したことから、3.3%増となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で7月1.8%減の後、8月(速報)は、生産財、資本財等が増加したことから、3.7%増となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で7月0.1%減の後、8月(速報)は、化学、窯業・土石製品等が減少したものの、一般機械、電気機械等が増加したことから、0.1%増となった。


 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
 有効求人倍率(季節調整値)は、7月0.60倍の後、8月0.62倍となった。完全失業率(同)は、7月4.7%の後、8月4.6%となった。

 輸出は、欧米向けに減速がみられるものの、アジア向けを中心に緩やかに増加している。
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で7月8.1%減の後、8月は7.5%増(前年同月比12.2%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で7月5.8%減の後、8月は10.3%増(前年同月比13.1%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 8月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、貿易収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、5,601億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 総合は、前年同月比で7月0.5%の下落の後、8月は0.8%の下落(前月比保合い、季節調整済前月比0.1%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年10月17日)」による。〕



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