平成12年12月8日発表

一般経済の動き (平成12年9月)


 景気は、家計部門の改善が遅れるなど、厳しい状況をなお脱していないが、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが継続し、全体としては、緩やかな改善が続いている。
需要面をみると、個人消費は、収入に回復への動きがみられるものの、おおむね横ばいの状態が続いている。住宅建設は、マンションなどの着工は減少しているが、持家が増加したため、全体ではおおむね横ばいとなっている。設備投資は、電気機械など特定の業種を中心に増加している。公共投資は、前年に比べて低調な動きとなっている。輸出は、アジア向けは堅調だが、欧米向けが横ばい状態となっているため、全体としては伸びが鈍化している。
 生産は、堅調に増加している。
 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
 企業収益は、大幅な改善が続いている。また、企業の業況判断は、業種や規模によってはなお厳しいが、全体としては改善が進んでいる。一方、倒産件数は、やや高い水準となっており、負債金額の増加がみられる。
 政府は、経済を自律的な回復軌道に乗せるため引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を21世紀にふさわしい構造に改革する。このため、10月19日に、日本新生プランの具体化策等を中心とした「日本新生のための新発展政策」を決定したところであり、その強力な推進を図ることとする。

 個人消費は、収入に回復への動きがみられるものの、おおむね横ばいの状態が続いている。
 家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で8月4.1%減の後、9月(速報値)は0.4%増(季節調整済前月比2.9%増)となった。

 住宅建設は、マンションなどの着工は減少しているが、持家が増加したため、全体ではおおむね横ばいとなっている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で8月は4.7%増(前年同月比3.8%減)となった後、9月は0.1%増(前年同月比3.1%減)の10万2千戸(年率122.0万戸)となった。

 設備投資は、電気機械など特定の業種を中心に増加している。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で7月は11.7%減(前年同月比17.9%増)の後、8月は26.6%増(同45.8%増)となり、基調には回復への動きがみられる。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、一進一退で推移しており、8月は季節調整済前月比24.7%増の後、9月は季節調整済前月比11.4%減(前年同月比11.5%減)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、堅調に増加している。在庫は、9月は減少した。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で8月3.4%増の後、9月(速報)は、石油・石炭製品が増加したものの、電気機械、一般機械等が減少したことから、3.4%減となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で8月3.9%増の後、9月(速報)は、生産財、耐久消費財等が減少したことから、3.6%減となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で8月0.3%増の後、9月(速報)は、プラスチック製品、化学等が増加したものの、輸送機械、石油・石炭製品等が減少したことから、1.1%減となった。


 雇用情勢は、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しいものの、残業時間や求人が増加傾向にあるなど改善の動きが続いている。
 有効求人倍率(季節調整値)は、8月0.62倍の後、9月0.62倍となった。完全失業率(同)は、8月4.6%の後、9月4.7%となった。

 輸出は、アジア向けは堅調だが、欧米向けが横ばい状態となっているため、全体としては伸びが鈍化している。

 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で8月7.5%増の後、9月は2.9%減(前年同月比6.3%増)となった。

 輸入は、緩やかに増加している。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で8月10.3%増の後、9月は5.9%減(前年同月比8.2%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 8月の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、貿易収支の黒字幅が縮小したことから、その黒字幅は縮小し、5,601億円となった。

 消費者物価は、やや弱含んでいる。
 総合は、前年同月比で8月0.8%の下落の後、9月は0.8%の下落(前月比0.3%の上昇、季節調整済前月比0.1%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年11月10日)」による。〕



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