平成12年8月4日発表

運輸経済月例報告 平成12年5月のトピックス



〜平成11年度の輸送動向について〜

 運輸経済月例報告では、運輸の各モードの輸送に関する速報データを報告しているが、この度、ほとんどのモードにおいて平成11年度のデータが出揃ったことから、今回のトピックスでは、平成11年度の輸送動向について総括する。

【国内旅客輸送関係】
<概観>
・幹線交通では、景気の緩やかな改善に伴い、国内航空を中心に徐々に流動が活発化。
・都市交通では、雇用情勢の低迷や少子化等による利用者の減少が続くが、減少幅は改善の傾向。

 幹線交通では、鉄道の需要が伸び悩んでいるが、企業活動の活発化等の影響もあり、徐々に回復する傾向にある。幹線路線で規制緩和により競争が促進されている国内航空は、運賃の低廉化等もあり、11年度全体を通じて対前年同期比でプラスとなった。
 都市交通のうち鉄道については、雇用情勢の低迷、少子化等の影響を受けて定期旅客が減少傾向にある。12年に入って祝日の3連休化(いわゆるハッピーマンデー)、定期券から回数券へのシフト等により定期外が回復基調にあるものの、11年度全体としては10年度から引き続き対前年同期比マイナスが続いた。
 また、法人需要の影響を受けやすいタクシーについては、依然として業績が厳しい状況であるが、景気の緩やかな改善により、9年第3四半期から続いた対前年同期比マイナスが11年第3四半期からプラスに転じている。

【国際旅客輸送関係】
<概観>
・我が国の個人収入が低迷するなか、出国日本人数は平成9年第3四半期以来の増加傾向。
・アジア諸国の経済危機が回復に向かったこと等から、韓国、台湾、中国を中心に入国外国人数も+8.2%と大幅増。

 出国日本人数については、バブル期以降の著しい伸びから一転して平成10年度は個人収入の低迷、円安等によりマイナスとなっていたが、個人収入が伸び悩む中、11年度はアジア諸国向けなど「安近短」と言われる需要を中心に回復基調に。ただし、海外旅行の取扱額でみると、最近は回復がうかがえるものの全体的には減少傾向がみられる。
 入国外客数は、9年のアジア経済危機以来減少していたが、11年に入り、韓国の景気回復や台湾における日本への人気の高さを背景に、アジア各国からの旅行者が大幅に増加する傾向にある。

【国内貨物輸送関係】
<概観>
・企業における在庫調整が進展し、生産が緩やかに増加するなか、貨物輸送も緩やかに回復傾向。

 企業の生産が緩やかに増加する傾向を受け、国内貨物輸送は、全般的に、平成10年度を底に緩やかに回復傾向を示している。
 特に好調な分野はメーカーの貨物輸送の小口多頻度化の流れを受けて大幅に伸びている宅配貨物とアジア・アメリカの好景気により鋼板等の取扱いが伸びた内航貨物(一般)。
 逆に、内航タンカーは火力発電における燃料のLNG化等により輸送量が減少が続いている。

【国際貨物輸送関係】
<概観>
・輸出については、アジアの好景気等を受け、外貿コンテナ、航空貨物ともに増加傾向。
・輸入についても、企業活動の活発化、IT関連投資の増加等を受け、航空貨物、外貿コンテナともに緩やかに増加。

 海外の各国の景気の影響を強く受ける国際貨物の輸出分野では、アジア諸国における好景気等を受けて増加傾向が続いている。
 輸入分野は、企業活動が調整局面から生産へシフトしつつあり、また、国内の個人消費が緩やかに改善の方向にあるなか、着実に伸びてきている。特に、IT関連投資・消費の著しい増加を受けて、航空貨物が著しい伸びを示している。

【輸送関連】
・東京・大阪のホテル稼働率は11年第2四半期から回復傾向。しかしながら、価格競争により収益は厳しい状況。
・自動車新車登録台数は対前年同期比が貨物車を中心にマイナスが続いていたが、小型自動車の売れ行きが好調なこと等により回復基調。


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