一般経済の動き (平成8年7月)


 我が国経済の最近の動きをみると、個人消費、住宅建設、設備投資等に明るい動きがみられ、輸出はおおむね横ばいで推移し、こうしたことを背景に生産は緩やかながら増加傾向にある。このように、民需の動きに堅調さが増しており、景気は回復の動きを続けている。ただし、足元、そのテンポは緩やかである。また、雇用情勢は改善の動きがみられるものの厳しい状況が続いているなど、懸念すべき点もみられる。

 個人消費は、緩やかな回復傾向にある。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で5月 1.4%減の後、6月は 3.4%増(前月比 4.2%増)となった。

 住宅建設は、高い水準で推移している。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で6月 11.0%減(前年同月比9.6%増)となった後、7月は13.4%増(前年同月比 21.7%増)となった。

 設備投資は、回復傾向にある。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で5月は 5.2%減(前年同月比18.9%増)の後、6月は 9.6%減(同3.2%増)となり、全体では緩やかな回復傾向にある。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、おおむね横ばいで推移しており、前月比で6月は10.1%減の後、7月は21.4%増(前年同月比12.0%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、緩やかながら増加傾向にある。在庫は2か月連続で減少した。
 鉱工業生産は、前月比で6月 4.3%減の後、7月(速報)は4.1%増となった。鉱工業出荷は、前月比で6月 3.8%減の後、7月(速報)は 3.3%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で6月 0.7%減の後、7月(速報)は 1.1%減となった。


 雇用情勢をみると、改善の動きがみられるものの、完全失業率は高い水準で推移するなど、厳しい状況が続いている。
 有効求人倍率(季節調整値)は、6月0.71倍の後、7月0.72倍となった。完全失業率(季節調整値)は、6月 3.5%の後、7月 3.4%となった。

 輸出は、おおむね横ばいで推移している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で6月 6.5%減の後、7月は 2.8%増(前年同月比 3.9%増)となった。

 輸入は、製品類を中心に増加傾向で推移している。
通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で6月 11.9%減の後、7月は 13.1%増(前年同月比 9.9%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字幅は縮小傾向で推移している。
 6月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が拡大したものの、貿易収支の黒字幅が拡大したため、その黒字幅は拡大し、2,730億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 7月の全国指数をみると、前年同月比 0.4%の上昇(前月比 0.1%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕

〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕