運輸経済月例報告 今月のトピックス


〜 最近の内航海運輸送の動向(月例ベース) 〜

一進一退が続く貨物船輸送

厳しい状況下にある油送船輸送

 国内貨物輸送量全体(平成7年度)に対する貨物船輸送量のシェアは、トンベースで4.6%、トンキロベースで24.4%であり、また、油送船輸送量のシェアは、それぞれ3.1%、17.2%となっている。

〔貨物船〕

貨物船の輸送量(トンベース)については、内航海運全体の輸送量の55%(平成7年度)を占めており、輸送品目では、建設関連の4品目(鉄鋼、セメント、石灰石、 砂利・砂・石材)で7割強となっている。平成4年度からの輸送量(14社)の状況をみると、4年度は対前年度比で3.4%減、5年度は1.3%減、6年度は1.0%増となっている。平成7年度は、7年8月からの粗鋼生産量の前年割れ、セメント、 石灰石の出荷量もマイナスのなかで、0.5%増となった。
8年度に入り、景気は緩やかに回復の動きを続けているなかで、「通商産業省:生産動態統計」をみると、セメントの出荷量は、住宅等民間建設工事の需要に支えられプラスが続いているが、粗鋼生産量は、引き続き生産調整が行われ前年割れが続いている(8年8月で13ヶ月連続のマイナス)。
この様な状況のなかで、8年度に入って月別の輸送量は、4月から前年同月比でマイナス、プラスを繰り返し一進一退を続けており、8月は0.1%増の微増となっている。
〔油送船〕
油送船の輸送量(トンベース)については、内航海運全体の輸送量の38%(平成7年度)を占めており、輸送品目では、燃料油関連の3品目(重油、揮発油、軽油等)で7割弱となっている。平成4年度からの輸送量(9社)の状況をみると、4年度は対前年度比で1.2%増、5年度は3.7%減、6年度は6.7%増となっている。
6年度の増加は、猛暑により電力用の重油の需要が大幅に増加したことによるものであるが、7年度は、その反動で7ー9期が前年同期比12.6%減と減少する等前年度比6.7%減となった。
8年度に入り、「通商産業省:エネルギー生産・需給統計」をみると、電力用の重油の販売量は低迷しているが、揮発油、軽油の販売量は、自動車の保有台数の増加等により概ねプラスで推移している。一方、「特定石油製品輸入暫定措置法」の廃止を契機として荷主側において他社との間で石油製品の融通を行う等合理化の動きもあり、油送船の輸送は厳しい状況下におかれている。
この様な状況のなかで、8年度に入って月別の輸送量は、4、5月が前年同月比でマイナスとなり、6月、7月はプラス、8月は1.4%減となっている。