一般経済の動き 一般経済の動き (平成9年10月)


 我が国経済の最近の動向をみると、設備投資は製造業を中心に回復傾向にあり、純輸出は増加傾向にある。他方、個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もあって、足踏み状態となっている。住宅建設は、下げ止まりの兆しは見られるものの、依然弱い動きとなっている。こうした需要動向を背景に、生産は弱含んでいる。雇用情勢をみると、雇用者数の伸びが鈍化し、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にある。また、民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。 こうしたなかで、家計や企業の景況感には厳しさが増しており、これが個人消費や設備投資にも影響を及ぼしている可能性があり、景気はこのところ足踏み状態にある。
 個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もあって、足踏み状態となって いる。  実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で9月 2.6%増の後、10月は 1.1%増(前月比 1.1%減)となった。
 住宅建設は、下げ止まりの兆しはみられるものの、依然弱い動きとなっている。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で9月 1.7%増(前年同月比22.2%減)となった後、10月は 2.6%増(前年同月比25.2%減)となった。
設備投資は、製造業を中心に回復傾向にある。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で8月は 4.7%減(前年同月比 2.7%増)の後、9月は12.3%減(同 1.3%増)となり、製造業は底堅く推移しているものの、全体としては弱含みで推移している。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、一進一退で推移しており、前月比で9月26.8%増の後、10月は12.0%減(前年同月比 1.3%増)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、一進一退で推移している。在庫は2か月連続で減少した。
 鉱工業生産は、前月比で9月 2.4%増の後、10月(速報)は 0.4%減となった。鉱工業出荷は、前月比で9月 2.9%増の後、10月(速報)は 0.7%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で9月 0.3%減の後、10月(速報)は 0.7%減となった。


 雇用情勢をみると、雇用者数の伸びが鈍化し、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にある。
 有効求人倍率(季節調整値)は、9月0.71倍の後、10月0.70倍となった。完全失業率(季節調整値)は、9月 3.4%の後、10月 3.5%となった。
 輸出は、強含みに推移している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で9月 2.1%減の後、10月は11.5%増(前年同月比14.6%増)となった。
 輸入は、おおむね横ばいで推移している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で9月 8.4%増の後、10月は 1.9%減(前年同月比 1.5%増) となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。
9月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、貿易収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、 3,972億円となった。
 消費者物価は、安定している。  全国指数(総合)をみると、前年同月比で9月 2.4%の上昇の後、10月は 2.5%の上昇(前月比 0.3%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕