一般経済の動き 一般経済の動き (平成9年12月)


 我が国経済の最近の動向をみると、純輸出は増加傾向にあるが、設備投資は、製造業には底堅さがみられるものの、全体としては伸びが鈍化している。個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もあって、低調な動きとなっている。住宅建設は、下げ止まりの兆しはみられるものの、依然弱い動きが続いている。このように最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準にあり、生産は弱含んでいる。雇用情勢をみると、雇用者数の伸びが鈍化し、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にある。また、民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。 最近の株価等の動きにみられるように、市場心理には一部好転の兆しもみられるものの、家計や企業の景況感の厳しさが個人消費や設備投資に影響を及ぼしており、景気はこのところ停滞している。
 個人消費は、家計の経済の先行きに対する不透明感もあって、低調な動きとなって いる。  実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で10月 1.1%増の後、11月は 2.1%減(前月比 2.3%減)となった。
 住宅建設は、下げ止まりの兆しはみられるものの、依然弱い動きが続いている。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で11月 4.4%減(前年同月比23.5%減)となった後、12月は 1.3%増(前年同月比18.6%減)となった。
設備投資は、製造業には底堅さがみられるものの、全体としては伸びが鈍化している。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で10月は16.3%増(前年同月比14.3%減)の後、11月は11.4%減(同16.6%減)となり、製造業は底堅く推移しているものの、全体としては弱含みで推移している。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、一進一退で推移しており、前月比で11月 7.6%増の後、12月は 6.1%減(前年同月比12.0%増)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は高水準にあり、生産・出荷は、弱含んでいる。
 鉱工業生産は、前月比で11月 5.0%減の後、12月(速報)は 0.8%増となった。鉱工業出荷は、前月比で11月 5.9%減の後、12月(速報)は 1.2%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で11月 1.4%増の後、12月(速報)は 0.4%増となった。


 雇用情勢をみると、雇用者数の伸びが鈍化し、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にある。
 有効求人倍率(季節調整値)は、11月0.69倍の後、12月0.68倍となった。完全失業率(季節調整値)は、11月 3.5%の後、12月 3.4%となった。
 輸出は、強含みに推移している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、 7.8%減の後、12月は 0.8%減(前年同月比 6.2%増)となった。
 輸入は、おおむね横ばいで推移している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で11月 9.2%減の後、12月(速報)は 9.7%増(前年同月比 5.0%増) となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。
11月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小したものの、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、 9,183億円となった。
 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で11月 2.1%の上昇の後、12月は 1.8%の上昇(前月比 0.2%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕