一般経済の動き 一般経済の動き (平成9年4月)


 我が国経済の最近の動向をみると、設備投資は回復傾向にあり、また、消費税率引き上げに伴う変動も見られるものの、個人消費は緩やかな回復傾向にあり、住宅建設は高い 水準で推移している。さらに、減少傾向にあった純輸出はこのところおおむね横ばいで推移している。こうした需要動向を背景に、生産 は増加傾向にある。以上のように、景気は回復の動きを続けている。そのテンポは緩 やかであるものの、民間需要は堅調に推移している。なお、雇用情勢は厳しい状況に あるものの、改善の動きがみられる。
 個人消費は、消費税率引上げに伴う変動もみられるものの、緩やかな回復傾向にある。  実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で3月 5.8%増の後、4月は 1.0% 減(前月比 7.0%減)となった。
 住宅建設は、消費税率引き上げに伴う一時的変動もあるものの、低金利の継続等 を背景に高い水準で推移している。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で3月 2.6%減(前年同 月比7.5%減)となった後、4月は 0.3%減(前年同月比 9.3%減)となった。
 設備投資は、回復傾向にある。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で2月は1.3%減(前年同月比9.9 %増)の後、3月は 12.7%減(同0.1%増)となったが、1〜3月期は前期比7.0%減(前年同期比6.2%増)となっており、増加傾向にある。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、前月比で3月17.7%増の後、4月は19.6%減(前年同月比15.1%減)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、基調として増加傾向にある。在庫は4月は増加した。
 鉱工業生産は、前月比で3月 0.3%減の後、4月(速報)は0.4%減となった。鉱工業出荷は、前月比で3月 0.8%増の後、4月(速報)は2.4%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で3月2.7%減の後、4月(速報)は2.9%増 となった。


 雇用情勢をみると、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にあるものの、 改善の動きがみられる。
 有効求人倍率(季節調整値)は、3月0.73倍の後、4月0.71倍となった。完全失業率(季節調整値)は、3月 3.2%の後、4月 3.3%となった。
 輸出は、強含みに推移している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で3月 3.8%減の後、4月は 8.1%増(前年同月比14.8%増)となった。
 輸入は、伸びが鈍化し、このところおおむね横ばいで推移している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で3月3.2%減の後、4月は 2.1%増(前年同月比 0.7%減) となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字幅は、おおむね横ばいで推移している。
 3月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大したものの、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、438億円となった。
 消費者物価は、消費税率引き上げの影響等により4月に上昇したが、基調として安定している。  4月の全国指数をみると、前年同月比1.9%の上昇(前月比 2.0%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕