運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成9年8月のトピックス



  平成8年度輸送量の動向(確報)  

 国内貨物輸送量は、景気回復を受けて好調に推移
 国内旅客輸送量は、航空、JRの好調により増加  

 各種輸送統計の平成8年度の数値が公表されたので、国内、国際の輸送動向をまとめた。

(概観)
 平成8年度の我が国経済は、公共投資の減少を堅調な民間需要がカバーしたことにより、緩やかながら回復基調を維持した。
 国内貨物輸送は、民間設備投資の回復、消費税率引き上げを前に住宅建設が活発だったこと等により、増加した。
 国内旅客輸送は、消費者物価が安定する中で、実質賃金がプラスを維持したことにより、旅行需要が増大したため、増加した。
 国際輸送は、貨物では、金額ベースでは、輸出・輸入とも大幅な増加を示した。しかし、貿易貨物が、重量物から軽量物にシフトしていること等により、重量ベースでは輸出が減少、輸入が横這いとなった。旅客では、円安により入国外客数が大幅に増加し、出国日本人も伸び率は鈍化したものの好調を維持した。

(国内貨物輸送)
 総輸送量(トンキロ)は、対前年度比(以下同じ。)で2.5%増であった。
○ 鉄道は、コンテナ化の進行によりコンテナ輸送が4.1%増となったものの、車扱の減少が15.6%減と大きく、合計で0.5%の減少となった。
○ 営業用トラックは、景気の回復に加え、消費税率引き上げ前の駆け込み需要による荷動きの活発化もあり、4.6%増となった。
○ 自家用トラックは、保有台数の減少が続いているものの、住宅着工の大幅な増加等による活発な荷動きにより、1.0%増となった。
○ 内航海運は、原油、重油等の減少により、油送船が1.6%減となったものの、鉄鋼、砂利・砂・石材等の増加により、貨物船が4.1%増であったために全体で1.4%増となった。
○ 航空は、航空宅配便や電子機器・同部品等、運賃負担力のある貨物の増加を受け、4.2%増と4年連続で増加した。

(国内旅客輸送)
 総輸送量(人キロ)は、1.5%増加した。

○ JRは、新幹線をはじめとする幹線部分が増加し、定期が0.6%増、定期外が1.5%増、合計で1.1%増となった。
○ JRを除く民鉄は、定期外は都市鉄道を中心に増加し、1.7%増であった ものの、定期は都市、地方とも減少し、1.5%減となり、全体でも0.4% 減と減少傾向が続いている。
○ 営業用バスは、乗合が4.2%減と5年連続で減少したことに加え、貸切が0.6%減と減少に転じたことにより、合計で2.1%減となった。
○ ハイヤー・タクシーは3.8%減と7年連続の減少となった。
○ 自家用自動車は、保有台数が増加を続けていることもあり、2.0%増と順調に増加している。
○ 航空は、順調に増加を続け、6.2%増となった。この伸びは、供給座席数の伸びを上回り、座席利用率は1.6ポイント上昇し62.3%となった。

(国際貨物輸送)
○ 海運による輸出(暦年)は、鉄鋼、セメント等の重量物の輸出の減少により、2.7%減と6年ぶりの減少となった。
○ 海運による輸入(暦年)は、パルプ、鉄鉱石の減少等により乾貨物が0.2%の減少となったものの、重油の増加等により液体貨物が0.6%増加したために全体で0.1%増と僅かながら増加した。
○ 航空による輸出は、アジア地域の経済の発展を受け、同地域への電子機器部品等の輸送の好調に加え、欧米向けも好調に推移したため、13%増と大幅な増加となった。
○ 航空による輸入は、円安により、運賃負担力の弱い生鮮食料品等の輸送が低調であったこと等により、0.3%減となった。

(国際旅客輸送)
○ 出国日本人数(暦年)は、年後半には円安の影響を受けて伸びが鈍化したものの、通年では9.1%増と大幅な増加が続いた。
○ 入国外客数(暦年)は、円安による割安感が生じたことにより、14.7%増と、前年のマイナスから大幅な増加に転じた。