一般経済の動き 一般経済の動き (平成10年12月)


 我が国経済最近の動向をみると、個人消費は、全体としては低調である。消費者マインドには下げ止まりの兆しもみられるものの、ボーナスをはじめとして収入が減少しているからである。住宅建設は、低水準が続いている。ただし、販売や受注が一部で回復してきたことを背景に、持ち直しの兆しがみられる。設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。公共投資は、着工の動きはこのところやや鈍くなっているが、上半期への前倒しが過去最高のペースで行われたこともあり、事業の実施が進んでいる。
 輸出は、このところやや減少している。
 生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数は下げ止まりの兆しがあるものの、完全失業率は高水準で推移している。
 また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っている。こうした中、国債需給の悪化懸念を背景に、長期金利が上昇した。
 以上のように、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にあるものの、一層の悪化を示す動きと幾分かの改善を示す動きとが入り混じり、変化の胎動も感じられる。
 個人消費は、全体としては低調である。消費者マインドには下げ止まりの兆しもみられるものの、ボーナスをはじめとして収入が減少しているからである。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で11月 1.3%増の後、12月は 0.6%減(前月比 5.7%減)となった。
 住宅建設は、低水準が続いている。ただし、販売や受注が一部で回復してきたことを背景に持ち直しの兆しがみられる。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で11月 5.2%減(前年同 月比16.O%減)となった後、12月は 5.6%増(前年同月比10.8%減)となった。
設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で11月 10.8%増(前年同月比12.2%減)の後、12月は3.1%減(同14.3%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、12月は前月比 0.6%増(前年同月比13.8%減)となったが、このところ弱い動きとなっている。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
 鉱工業生産は、前月比で11月 2.1%減の後、12月(速報)は 1.3%増となった。鉱工業出荷は、前月比で11月 2.1%減の後、12月(速報)は 1.4%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で11月 1.4%減の後、12月(速報)は 1.7%減となった。


 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数は下げ止まりの兆しがあるものの、完全失業率は高水準で推移している。
 有効求人倍率(季節調整値)は11月0.47倍の後、12月0.48倍となった。完全失業率(季節調整値)は、11月 4.4%の後、12月 4.3%となった。
 輸出は、このところやや減少している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で11月 8.8%減の後、12月は 2.3%増(前年同月比 5.5%減)となった。
 輸入は、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で11月 4.8%増の後、12月は 1.9%減(前年同月比 7.5%減)となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
12月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大したものの、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、6,762億円となった。
 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で11月 0.8%の上昇の後、12月は 0.6%の上昇(前月比 0.4%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成11年2月16日)」による。〕