一般経済の動き 一般経済の動き (平成10年8月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。設備投資は、大幅に減少している。特に中小企業の減少が著しい。
 輸出は、アジア向けが減少しているものの、欧米向けなどが好調なため、全体としては横ばい状態となっている。
 このように最終需要が低調なため、生産は減少傾向にある。在庫はこのところ減少しているものの、まだ高水準である。
 雇用情勢は依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加している。失業者数の増加によって、完全失業率はこれまでの最高水準に並んだ。また、民間金融機関は貸出に慎重な態度を変えていない。
 こうした中、企業の業況感は一層悪化しており、金融市場などでも、経済の先行きに対する不透明感が更に高まっている。
 以上のように、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。
 個人消費は、低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布 のひもが依然として固いからである。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で7月 3.4%減の後、8月は 2.4%減(前月比 1.1%増)となった。
 住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で7月 9.3%減(前年同 月比11.3%減)となった後、8月は 7.2%増(前年同月比11.4%減)となった。
設備投資は、大幅に減少している。特に中小企業の減少が著しい。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で6月は 5.6%増(前年同月比18.6%減)の後、7月は 3.7%増(同24.1%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、このところ弱い動きとなっており、8月は前月比16.3%減(前年同月比19.9%減)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、減少傾向にある。在庫は このところ減少しているものの、まだ高水準である。
 鉱工業生産は、前月比で7月 0.6%減の後、8月(速報)は 0.6%減となった。鉱工業出荷は、前月比で7月 0.3%減の後、8月(速報)は 0.9%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で7月 0.7%減の後、8月(速報)は 0.5%減となった。


 雇用情勢をみると、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加している。失業者数の増加によって、完全失業率はこれまでの最高水準に並んだ。
 有効求人倍率(季節調整値)は、7月0.50倍の後、8月0.50倍となった。完全失業率(季節調整値)は、7月 4.1%の後、8月 4.3%となった。
 輸出は、アジア向けが減少しているものの、欧米向けなどが好調なため、全体としては横ばい状態となっている。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で7月 3.3%増の後、8月は 3.6%減(前年同月比 4.3%減)となった。
 輸入は、減少テンポが弱まり、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で7月 0.0%増の後、8月は 2.9%減(前年同月比 5.2%減)となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている
7月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が拡大したものの、貿易収支の黒字幅が拡大したため、その黒字幅は拡大し、8,487億円となった。
 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で7月 0.1%の下落の後、8月は 0.3%の下落(前月比 0.1%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕