一般経済の動き
一般経済の動き (平成10年9月)


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我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。設備投資は、大幅に減少している。特に中小企業の減少が著しい。公共投資は、前倒し執行や10年度第1次補正予算の効果が現れてきた。
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輸出は、アジア向けが減少しているものの、欧米向けなどが好調なため、全体としては横ばい状態となっている。
- 生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。
- 雇用情勢は依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
- また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を高めており、手元流動性確保に向けての動きを強めている。
- こうした中、海外の景気減速などについての懸念があることや為替レートが大きく動いたこともあって、経済の先行きに対する不透明感が俄然強い。
- 以上のように、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。
- 個人消費は、低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布
のひもが依然として固いからである。
- 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で8月 2.4%減の後、9月は 1.5%減(前月比 0.8%増)となった。
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住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。
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新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で8月 7.2%増(前年同
月比11.4%減)となった後、9月は 3.2%減(前年同月比14.0%減)となった。
- 設備投資は、大幅に減少している。特に中小企業の減少が著しい。
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機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で7月は 3.7%減(前年同月比24.1%減)の後、8月は 3.5%減(同25.0%減)となり、基調は減少傾向となっている。
- 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、9月は前月比18.7%増(前年同月比15.8%減)となったが、このところ弱い動きになっている。
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鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
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鉱工業生産は、前月比で8月 1.3%減の後、9月(速報)は、化学、繊維等が減少したものの、電気機械、輸送機械等が増加したことから、 2.5%増となった。鉱工業出荷は、前月比で8月 1.3%減の後、9月(速報)は、生産財、資本財等が増加したことから、 3.2%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で8月 0.3%減の後、9月(速報)は、精密機械が増加したものの、化学、鋼鉄等が減少したことから、 1.2%減となった。
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雇用情勢をみると、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
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有効求人倍率(季節調整値)は、8月0.50倍の後、9月0.49倍となった。完全失業率(同)は、8月 4.3%の後、9月 4.3%となった。
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輸出は、アジア向けが減少しているものの、欧米向けなどが好調なため、全体としては横ばい状態となっている。
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通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で8月 3.6%減の後、9月は 3.3%増(前年同月比 1.0%減)となった。
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輸入は、減少テンポが弱まり、おおむね横ばい状態となっている。
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通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で8月 2.9%減の後、9月 3.5%増(前年同月比 6.9%減)となった。
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国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、緩やかに増加している。
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8月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大するとともに、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、9,054億円となった。
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消費者物価は、基調として安定している。
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全国指数(総合)をみると、前年同月比で8月 0.3%の下落の後、9月は 0.2%の下落(前月比 0.8%の上昇)となった。
〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕