運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成10年10月のトピックス



   我が国をめぐる国際航空市場の動向(その1)  
  香港への出国日本人数減少、欧州等からの訪日客増加  
  太平洋線における日本企業の積み取り比率向上  

 我が国をめぐる国際航空市場の動向を把握するため、今回は、主要路線として次の4路線を選び、平成7・8・9年度の3年間の利用客数、利用客の日本人・外国人・トランジット客別の内訳、航空企業別積み取り比率等についてまとめてみた。
 東京(成田)−米国西海岸(ロサンゼルス、サンフランシスコ)線
 東京(成田)−欧州(ロンドン、パリ)線
 東京(成田)−香港線
 東京(成田・羽田)−ホノルル線
 これによれば、香港の中国返還(9年7月)前に起こった観光ブームが沈静化し、香港への出国日本人数が大幅に減少しており、一方、円安等の事情もあり、欧州、香港等からの訪日客が増加している。また、米国西海岸線、ホノルル線といった太平洋線において、日本企業の積み取り比率の向上がみられる。
 以下、各路線別に特徴をみてみる。なお、文中の数字は9年度の実績であり、増減比は8年度と9年度の実績を比較したものである。
○米国西海岸(ロサンゼルス・サンフランシスコ)線
 年間旅客数は259万人であり、うち、日本人旅客が約6割を占め、トランジット客(東南アジア〜成田〜米国の経由客が多い。)も約4分の1をしめる。
 全体旅客数は増加傾向にあり、アジアの経済危機の影響もあり、トランジット客は減少(4.4%減)したものの、外国人客は増加(6.3%増)している。
 日本企業は、便数増(9.7%増)もあって、積み取り比率が1.6ポイント向上し、この結果、日本企業26.0%、米国企業54.0%、第3国企業20.0%の積み取り比率となった。なお、10年12月から全日本空輸が、従来からのロサンゼルス線に加えてサンフランシスコ線にも就航した。
(注)  日本企業:日本航空、全日本空輸
  相手国企業:ノースウェスト航空、ユナイテッド航空、デルタ航空
  第3国企業:大韓航空、ヴァリグブラジル航空、マレーシア航空、シンガポール航空

○欧州(ロンドン・パリ)線
 年間旅客数は176万人であり、うち日本人旅客数が約8割を占める。
 全体旅客数は増加傾向にあり、特に外国人客が大幅に増加(14.2%増)している。
 日本企業は、便数増(1.4%増)もあって、積み取り比率が0.4ポイント向上し、この結果、日本企業46.7%、欧州企業52.4%、第3国企業0.9%の積み取り比率となった。
(注)  日本企業:日本航空、日本アジア航空、全日本空輸
  相手国企業:英国航空、ヴァージンアトランティック航空、エールフランス国営航空
  第3国企業:アエロフロートロシア国際航空

○香港線
 年間旅客数は、177万人であり、うち、日本人旅客が約5割(8年度においては7割近く)を占め、トランジット客(香港〜成田〜米国の経由客が多い。)も2割近くを占めている。
 全体旅客数は、香港ブームの沈静化により大幅に減少(25.8%減)し、特に日本人旅客は半減に近い落ち込み(45.3%減)となったが、外国人客は大幅に増加(22.6%増)している。
 日本企業は、日本人旅客の減少に応じて便数減(10.5%減)を行ったこともあり、積み取り比率は2.7ポイント低下し、この結果、日本企業46.3%、香港企業 29.0%、第3国企業24.6%の積み取り比率となった。
(注)  日本企業:日本航空、全日本空輸
  相手国企業:キャセイパシフィック航空
  第3国企業:ノースウェスト航空、ユナイテッド航空、エアインディア

○ホノルル線
 年間旅客数は238万人であり、うち日本人旅客が9割近くを占める。
 全体旅客数は、地方空港発ホノルル直行便及び成田発ハワイ島直行便の新設等の事情もあり、漸減傾向にある。
 日本企業は需要動向に応じ、便数減(1.7%減)を行ったが、米国企業も大幅な便数減(11.9%減)を行ったため、日本企業の積み取り比率は、1.7ポイント向上し、この結果日本企業40.8%、米国企業52.9%、第3国企業6.3%の積み取り比率となった。なお、10年10月から全日本空輸が本路線に就航した。
(注)  日本企業:日本航空
  相手国企業:ノースウェスト航空、ユナイテッド航空、コンチネンタル・ミクロネシア航空
  第3国企業:中華航空