運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成10年1月のトピックス



  平成9年の国際の動向  

 ・貿易は、円安を受けて、輸出は好調、輸入は微増   
   ・出入国者は、入国者は大幅増、出国者は年後半から減少   

 平成9年の我が国経済は、消費税率引き上げの影響、公共投資の減少等に加え、金融機関の破綻等の要因による経済の先行きに対する不透明感から民間消費支出が低迷したことにより、秋以降内需が一層冷え込んだ。  一方、外国為替レートは、対ドルで120円を中心に上下し、前年に比べ円安傾向で推移し、11月からは一層の円安が進んだ。また、年後半から、インドネシア、タイ、韓国等の通貨不安が顕在化した。  このような内外の経済状況を受けて、国際輸送の面では、貿易は、輸出が好調に推移した反面、輸入は微増にとどまり、出入国者数は、入国外客が大幅増であったが、出国日本人は、9月以降減少に転じ、年間でみても微増となった。

(貿易)
 輸出は、大蔵省の外国貿易概況によれば、トン数で対前年比4.1%増となっており、五大港のコンテナ取扱が2.2%増、成田、関西の両国際空港の取扱貨物量が28.7%増といずれも増加した。
 貿易指数(数量)により輸出を月別に見ると、内需の冷え込みをカバーするための輸出圧力等により4月以降増加幅が大きくなったが、アジア地域の経済低迷の影響が大きく顕れた11月には伸びが鈍化した。また、輸出の相手地域別の推移をみると、対EU及び米国向けは対前年比で年間を通じて増加したが、対アジア向けは11月以降減少に転じている。
 輸入は、大蔵省の外国貿易概況によれば、トン数で対前年比1.4%増となっている。一方、五大港のコンテナ取扱は0.6%減、成田、関西の両国際空港の取扱貨物量は0.5%減とこれらの指標では減少している。これは、輸入トン数に占めるウェィトの高い原油の輸入量が増加したことなどによるものである。
 貿易指数(数量)により輸入を月別にみると、3月に大幅増、4〜5月に低迷、6〜10月には回復したが、11月に再び減少となっており、この間の国内消費支出の動向と似通った動きとなっている。
(出入国数) 
 出国日本人数は、平成6年から対前年比で大幅増を続けてきたが、9年には円安の影響及び国内経済の停滞による消費者心理の冷え込みを受けて、0.7%増と微増にとどまった。
 月別に見ると、年前半は、前年までに比べ伸び率は低いものの増加を維持していたが、景気停滞の影響等により9月以降減少に転じ、12月には11.6%減と、湾岸戦争の影響を受けた3年2〜4月以来の2桁減を記録した。
 主な渡航先別に動向を見ると、対米国及び欧州は年間を通じて順調に増加したが、対アジアについては、返還ブームの反動により香港への出国者が大幅に減少したことなどにより、年後半から減少に転じた。
 入国外客数は、円安が一層進んだことなどにより、10.1%増と前年に引き続いて大幅増となった。
 月別に見ても、8〜10月に3ヵ月連続で2桁増を記録する等、年間を通じて各月とも前年比で増加を続けたが、アジア地域で、通貨不安から対円の為替レートが安くなり日本への渡航が割高となった国からの訪日客の減少により、12月には3.2%増と小幅の伸びにとどまった。
 主な国籍別に動向を見ると、欧州は年間を通じて大幅増を続け、米国も順調に増加したが、アジアは、12月には減少に転じた。これは、通貨の安定している台湾等増加を続けた国もあるものの、入国外客の中でウェィトの高い韓国が、経済低迷から外貨の使用制限を行ったこと等により、12月に、23.8%減と激減したことによる。