運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成10年9月のトピックス



   平成10年度上半期の輸送動向  
  国内貨物輸送は、全輸送機関とも減少続く  
  国内旅客輸送は、航空を除いて減少続く  

【国内貨物輸送】
 長引く景気の低迷の中で、個人消費、民間設備投資が冷え込んでいることに加え、公共事業も9月には公共工事着工金額が対前年同月比で37.0%と大幅増になったものの、8月以前は前年割れの状態であった。
 このため、10年度上半期の国内貨物輸送は、全ての輸送機関で前年同期を下回っており、極めて低調な状況が続いている。
 輸送機関別にみると、
 JR貨物は、輸送需要の低迷に加え、8月末に起きた大雨による東北、上越線の輸送障害もあり、対前年同期比(以下同じ)15.2%の大幅減少となった。
 トラックは、消費の冷え込みに加え、建設需要の回復の遅れにより、特別積合わせが5.1%減、一般が9.6%減といずれも減少した。
 内航海運(貨物船)は、鉄鋼、セメント等の大宗貨物の荷動きの回復が遅れており、8.5%減と9年度上期からの減少が続いている。
 航空は、生鮮食品の緊急輸送等の増加要因はあったものの、企業の輸送コスト削減の影響を受けた半導体等の一般貨物の減少により、0.8%減となった。

【国際旅客輸送】
 9月には急激な円高となったが、上半期を通して円安基調で推移したこと及び国内需要の冷え込みを受けて、輸入は低調に推移した。輸出は、米国向けが好調であったものの、回復のテンポの遅いアジア経済の影響を受けて、アジア向けが低調であったことから、全体では減少傾向が続いた。
 外貿コンテナ(8月分までのデータで比較)は、輸出では、米国向けが引き続き好調であったが、景気回復の遅れているアジア向けの不振により5.3%減輸入では、円安に加え、国内消費の冷え込みによる需要減によって、10.8%と大幅な減少となった。
 国際航空は、輸出では、外貿コンテナと同様アジア向けの減少が大きく、これまでの増加傾向から一転して、6.0%減となった。輸入では、国内需要減に加え、運賃負担力の弱い貨物が海運にシフトしたことなどにより、8.2%減となった。

【出入国者数】
 出国日本人数は、消費低迷に加え、円安により現地滞在費や土産品の価格が相対的に上昇していることから、海外旅行が敬遠され、4.7%減と前期に引き続き減少となった。
 入国外客数は、円安による我が国への旅行費用が相対的に安価となったこと等から、欧米からの来訪客は増えているものの、景気低迷が続いている韓国からの来訪客の減少により、3.8%減とこれまでの増加傾向から一転して減少となった。