一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年12月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、収入が低迷していることから、足踏み状態となっており、年末にはボーナスが厳しかったことなどから減少した。住宅建設は、このところ好調に推移してきたマンションの着工が減少したことなどから、やや水準を下げている。設備投資は、減少基調が続いているが、一部に持ち直しの動きがみられる。公共投資は、事業の実施は前年を下回っているが、着工は、第二次補正予算などの効果もあり、このところやや水準を戻している。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 在庫は、在庫率が前年水準を大幅に下回るなど、調整はおおむね終了しつつある。こうした中、生産は、緩やかに増加している。
 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、持ち直しの動きが続いている。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 我が国経済は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していない。また、年末には需要がやや低迷した。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業行動に前向きの動きもみられ、景気は、緩やかな改善が続いている。
 政府は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くため、経済新生対策を始めとする諸施策を推進する。
 なお、1月28日に平成12年度の実質経済成長率を1.0%程度と見込んだ「平成12年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」を閣議決定し、同日、84兆9,900億円(前年度当初比3.8%増)の平成12年度一般会計予算案を国会に提出した。

 個人消費は、収入が低迷していることから、足踏み状態となっており、年末にはボーナスが厳しかったことなどから減少した。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で11月2.9%減の後、12月(速報値)は4.0%減(季節調整済前月比3.9%減)となった。

 住宅建設は、このところ好調に推移してきたマンションの着工が減少したことなどから、やや水準を下げている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で11月4.4%増(前年同月比8.1%増)となった後、12月は3.0%減(前年同月比0.8%減)の9万7千戸(年率116万戸)となった。

 設備投資は、減少基調が続いているが、一部に持ち直しの動きがみられる。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で11月は2.2%減(前年同月比1.8%減)の後、12月は16.1%増(同14.7%増)となり、基調には全体として持ち直しの動きが見られる。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、このところやや増加しており、12月は季節調整済前月比8.6%増(前年同月比13.4%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、在庫率が前年水準を大幅に下回るなど、調整はおおむね終了しつつある。こうした中、生産・出荷は、緩やかに増加している。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で11月4.5%増の後、12月(速報)は、一般機械、精密機械等が増加したものの、電気機械、輸送機械等が減少したことから、1.4%減となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で11月4.0%増の後、12月(速報)は、資本財、生産財等が減少したことから、1.1%減となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で11月0.9%増の後、12月(速報)は、化学、鉄鋼等が増加したものの、輸送機械、電気機械等が減少したことから1.6%減となった。


 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 有効求人倍率(季節調整値)は11月0.49倍の後、12月0.49倍となった。完全失業率(季節調整値)は、11月4.5%の後、12月4.6%となった。

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で11月0.2%減の後、12月(速報)は0.5%増(前年同月比9.8%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で11月15.0%増の後、12月(速報)は1.3%減(前年同月比20.7%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、緩やかに減少している。
 11月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が縮小したものの、貿易収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、5,128億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 総合は、前年同月比で11月1.2%の下落の後、12月は一昨年の生鮮食品の上昇の影響等により1.1%の下落(前月比0.3%の下落、季節調整済前月0.2%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年2月15日)」による。〕



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