一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年1月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、下げ止まりつつあるものの、水準はまだ低い。これは収入が低迷しているからである。住宅建設は、低水準で推移している。ただし、販売や受注が一部で回復してきたことを背景に、持ち直しの兆しがみられる。設備投資は、大幅な減少が続いている。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。公共投資は、補正予算などの効果により、堅調な動きとなっている。輸出は、このところやや減少している。
 生産は、最終需要が低調なため低い水準にあるものの、このところ下げ止まりつつある。一方、在庫の調整が進み、在庫率は前年を下回る水準にまで低下してきた。
 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数は下げ止まりの兆しがあるものの、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
 民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っているが、信用保証制度の拡充の効果などから、企業倒産は大幅に減少した。一方、金融システム安定化策の進展を反映して、流動性に対する金融市場での警戒感は薄れてきた。こうした中、金融政策の変更などを背景に、長短金利が大幅に低下した。
 以上のように、景気は、民間需要が低調なため依然として極めて厳しい状況にあるが、各種の政策効果に下支えされて、このところ下げ止まりつつある。
 このような厳しい経済状況の下、政府は、緊急経済対策を始めとする諸施策を強力に推進する。また、2月26日に経済戦略会議は「日本経済再生への戦略」を答申した。
 個人消費は、下げ止まりつつあるものの、水準はまだ低い。これは収入が低迷しているからである。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で12月0.6%減の後、1月は 1.4%増(前月比 2.2%増)となった。
 住宅建設は、低水準で推移している。ただし、販売や受注が一部で回復してきたことを背景に、持ち直しの兆しがみられる。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で12月 5.6%増(前年同月比10.8%減)となった後、1月は 0.7%増(前年同月比11.2%減)となった。
設備投資は、大幅な減少が続いている。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で12月は 3.1%減(前年同期比14.3%減)の後、1月は1.7%減(同22.9%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、弱い動きとなっており、1月は前月比12.5%減(前年同月比24.7%減)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、最終需要が低調なため低い水準にあるものの、このところ下げ止まりつつある。一方、在庫の調整が進み、在庫率は前年を下回る水準にまで低下してきた。
 鉱工業生産は、前月比で12月 1.3%増の後、1月(速報)は、0.8%増となった。鉱工業出荷は、前月比で12月 1.8%増の後、1月(速報)は、1.2%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で12月 1.8%減の後、1月(速報)は、1.7%減となった。


 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数は下げ止まりの兆しがあるものの、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
 有効求人倍率(季節調整値)は12月 0.47倍の後、1月 0.49倍となった。完全失業率(季節調整値)は、12月 4.4%の後、1月 4.4%となった。
 輸出は、このところやや減少している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で11月 4.9%減、12月 1.5%増の後、1月は6.0%増(前年同月比 1.2%減)となった。
 輸入は、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で12月 1.9%減の後、1月 4.3%増(前年同月比 2.2%減)となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
1月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、サービス収支の赤字幅が拡大したものの、貿易収支の黒字幅が拡大したため、その黒字幅は拡大し、1兆191億円となった。
 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で12月 0.6%の上昇の後、1月は 0.2%の上昇(前月比 0.5%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成11年3月16日)」による。〕