一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年5月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、収入が低迷しているため力強さはみられないものの、緩やかに回復してきている。住宅建設は、持ち直してきている。設備投資は、1〜3月期は中小企業などで動きがみられたものの、基調としては大幅な減少が続いている。公共投資は、堅調に推移している。輸出は、おおむね横ばい状態となっている。
 在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準にまで低下してきた。こうした中、 生産は、最終需要の動きを反映して、低い水準にあるものの、おおむね横ばいで推移している。
 雇用情勢は、依然として厳しい。勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率は高水準で推移している。
 民間金融機関の貸出は依然低調であるが、企業金融のひっ迫感はやや緩和している。また、企業の景況感は、厳しい状態にあるが改善傾向にある。
 以上のように、景気は、民間需要の回復力が弱く厳しい状況にあるが、各種の政策効果が浸透し、このところやや改善している。
 このような厳しい経済状況の下、政府は、緊急経済対策を始めとする諸施策を強力に推進する。また、6月11日に緊急雇用対策及び産業競争力強化対策を決定し、これを受けて、雇用対策について11年度補正予算案を国会に提出した。

 個人消費は、収入が低迷しているため力強さはみられないものの、緩やかに回復してきている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で4月0.7%減の後、5月は2.4%増(前月比3.6%増)となった。

 住宅建設は、持ち直してきている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で4月3.5%減(前年同月比1.1%増)となった後、5月は2.2%減(前年同月比0.9%減)の10万2千戸(年率123万戸)となった。

設備投資は、1〜3月期は中小企業などで動きがみられたものの、基調としては大幅な減少が続いている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で4月は13.8%減(前年同月比14.5%減)の後、5月は3.8%増(同7.5%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、4月は前月比41.3%減と大きく水準を落としたが、5月は同21.6%増(前年同月比12.0%減)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準にまで低下してきた。こうした中、生産・出荷は、最終需要の動きを反映して、低い水準にあるものの、おおむね横ばいで推移している。
 鉱工業生産は、前月比で4月3.4%減の後、5月(速報)は、輸送機械、電気機械等が増加したものの、化学、一般機械等が減少したことから、0.7%減となった。
 鉱工業出荷は、前月比で4月5.0%減の後、5月(速報)は、資本財、耐久消費財等が増加したことから、1.0%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で4月0.2%減の後、5月(速報)は、電気機械、鉄鋼等が増加したものの、輸送機械、石油・石炭製品等が減少したことから、0.5%減となった。


 雇用情勢は、依然として厳しい。勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率は高水準で推移している。
 有効求人倍率(季節調整値)は4月0.48倍の後、5月0.46倍となった。完全失業率(季節調整値)は、4月4.8%の後、5月4.6%となった。

 輸出は、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で4月0.4%増の後、5月は4.0 %減(前年同月比4.7%減)となった。

 輸入は、緩やかな増加の動きが見られる。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で4月2.4%増の後、5月7.1%減(前年同月比8.8%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
4月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小し、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、6,540億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で4月0.1%の下落の後、5月は0.4%の下落(前月比保合い)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成11年7月13日)」による。〕