一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年7月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、収入が低迷しているものの、緩やかに回復してきている。財布の中身は増えていないものの、ひもは緩み出している。住宅建設は、このところ大幅に増加してきた持家の着工が減少したが、全体としては前年を上回る水準を保っている。設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。公共投資は、着工の動きはこのところ低調だが、事業の実施が進んでいる。輸出は、アジア向けが回復傾向にあるため、緩やかに増加している。
 在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、生産は、最終需要の動きを反映して低水準でおおむね横ばいだが、持ち直しの兆しもみられる。
 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
 企業金融のひっ迫感は緩和しているが、民間金融機関の貸出は依然低調である。また、企業収益は、持ち直してきた。
 以上のように、景気は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していないが、各種の政策効果の浸透などで、やや改善している。
 政府は、緊急経済対策、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策等の諸施策を強力に推進する。また、公需から民需へ円滑にバトンタッチが行われ、景気の腰折れを招くことなく、本格的な回復軌道につなげていくため、速やかに公共事業等予備費を使用することとし、具体的な検討を行うとともに、今後とも経済情勢を注視しつつ、15か月予算という考え方に立った平成11年度第2次補正予算の編成も含め、機動的・弾力的な対応を行う。

 個人消費は、収入が低迷しているものの、緩やかに回復してきている。財布の中身は増えていないものの、ひもは緩みだしている。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で6月0.1%減の後、7月は1.4%増(前月比0.7%増)となった。

 住宅建設は、このところ大幅に増加してきた持家の着工が減少したが、全体としては前年を上回る水準を保っている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で6月6.5%増(前年同月比7.3%増)となった後、7月は11.7%減(前年同月比1.9%増)の9万6千戸(年率115万戸)となった。

 設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で6月は6.3%増(前年同月比7.7%減)の後、7月は5.4%減(同7.5%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、低水準で推移しており、7月は前月比8.1%減(前年同月比23.4%減)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、生産・出荷は、最終需要の動きを反映して低い水準でおおむね横ばいだが、持ち直しの兆しもみられる。
 鉱工業生産は、前月比で6月3.2%増の後、7月(速報)は、鉄鋼、非鉄金属等が増加したものの、一般機械、化学等が減少したことから、0.6%減となった。
 鉱工業出荷は、前月比で6月3.6%増の後、7月(速報)は、耐久消費財、生産財等が減少したことから、1.0%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で6月0.3%減の後、7月(速報)は、電気機械、輸送機械等が増加したものの、石油・石炭製品、化学等が減少したことから、1.6%減となった。


 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数が減少し、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
 有効求人倍率(季節調整値)は6月0.46倍の後、7月0.46倍となった。完全失業率(季節調整値)は、6月4.9%の後、7月4.9%となった。

 輸出は、アジア向けが回復傾向にあるため、緩やかに増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で6月7.4%増の後、7月は0.7%減(前年同月比1.2%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入が増加基調にあり、緩やかに増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で6月5.7%増の後、7月3.7%減(前年同月比3.9%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 7月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大したものの、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、6,572億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で6月0.3%の下落の後、7月は0.1%の下落(前月比0.4%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成11年9月17日)」による。〕