一般経済の動き 一般経済の動き (平成11年9月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、収入が低迷していることなどから、このところ足踏み状態にある。住宅建設は、マンションの着工が増加しており、前年を上回る水準で推移している。設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。公共投資は、事業の実施が進んでいるが、着工は低調な動きとなっている。輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、生産は、持ち直しの動きがみられる。
 雇用情勢は、残業時間などの増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、持ち直してきた。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 以上のように、景気は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していないが、各種の政策効果の浸透に加え、アジア経済の回復などの影響もあって、緩やかな改善が続いている。
 政府は、将来の公需の鈍化等が景気減速をもたらしかねないとの懸念を払拭しつつ、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くため、11月11日に経済新生対策を決定したところであり、その強力な推進を図ることとする。

 個人消費は、収入が低迷していることなどから、このところ足踏み状態にある。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で8月0.1%増の後、9月は2.9%減(前月比1.9%減)となった。

 住宅建設は、マンションの着工が増加しており、前年を上回る水準で推移している。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で8月10.7%増(前年同月比8.4%増)となった後、9月は1.3%減(前年同月比10.5%増)の10万5千戸(年率126万戸)となった。

 設備投資は、なお大幅な減少基調が続いている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で8月は2.7%増(前年同月比4.1%減)の後、9月は4.6%増(同6.7%減)となり、基調には、製造業を中心とした底固めへの動きが見られる。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、9月は前月比7.1%増(前年同月比1.8%減)とやや増加したものの、前年を下回る水準が続いている。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、調整が進み、在庫率は前年を下回る水準になっている。こうした中、生産・出荷は、持ち直しの動きがみられる。
 鉱工業生産は、前月比で8月4.4%増の後、9月(速報)は、輸送機械、精密機械等が増加したものの一般機械、電気機械等が減少したことから、0.8%減となった。
 鉱工業出荷は、前月比で8月3.8%増の後、9月(速報)は、耐久消費財、建設材等が減少したことから、0.3%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で8月0.3%増の後、9月(速報)は、輸送機械、金属製品等が増加したものの、電気機械、石油・石炭製品等が減少したことから、0.2%減となった。


 雇用情勢は、残業時間などの増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 有効求人倍率(季節調整値)は8月0.46倍の後、9月0.47倍となった。完全失業率(季節調整値)は、8月4.7%の後、9月4.6%となった。

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で8月1.7%増の後、9月は3.5%増(前年同月比6.2%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入が増加基調にあり、緩やかに増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で8月9.2%増の後、9月2.1%減(前年同月比10.6%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 9月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、6,366億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で8月0.3%の上昇の後、9月は0.2%の下落(前月比0.3%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成11年11月16日)」による。〕