運輸経済月例報告 平成11年5月のトピックス



プレジャー・ボートの普及と海洋性レクリエーションの状況
  
  景気低迷下にあっても、小型船舶隻数は、モーターボートを中心に増加傾向  
  小型船舶操縦士(4級)免許受有者数は、ここ数年4%強の伸びが続く。  
 【我が国経済の動向とスポーツレジャー参加人口について】(図1図2参照

 我が国経済は、平成11年7月に入り各種の政策効果が浸透し、やや改善しているものの、長らく景気低迷が続き、実質消費支出も5年から対前年比マイナスが続いている。一方、総労働時間は、時短や休日増等により減少傾向にあり、余暇のための時間は増加している。
 こうした中にあって、スポーツレジャーへの参加人口の推移をみると、景気低迷により、ゴルフ、テニス、ヨット・モーターボート等のいずれも減少傾向がみられる。また、家計支出における教養娯楽費支出(実質)の対前年比をみても、8、9年はプラスに転じたものの総じて減少傾向にあり、ここ数年は支出をあまり伴わない余暇の過ごし方が普及しているものと推測される。
 しかしながら、後述のとおり、小型船舶隻数や小型船舶操縦士免許受有者数は、堅調な伸びを示しており、海洋性レクリエーション活動に対するニーズは高いものがあると考えられる。今後、これら海洋性レクリエーション活動は、機材価格の低下、保管・係留コストの低減、機材のレンタル・リースの拡充等が図られていけば、参加人口は増加していくことが予想される。
 瀬戸大橋(昭和63年4月開通)は、10年度通行台数が5,764千台(1日平均16千台)であり、9年度と比べ2.1%減となったが、車種別にみると、普通車・中型車(1.6%減)、大型車(5.8%減)の減少に対し、特大車(2.0%増)、軽自動車等(3.4%増)が増加している。理由としては、景気低迷の影響、神戸〜鳴門ルートへの一部転換、観光目的の貸切バスや軽自動車の増加等が考えられる。
(注) スポーツレジャー参加人口は、財団法人余暇開発センターの「余暇活動に関する調査」による。
 なお、参加人口とは、全国15歳以上の男女4000名を対象にサンプル調査し、ある活動を1年間に1回以上行った我が国における参加人口を推計したもの。

【プレジャーボートの普及状況】(図3参照)
 モーターボート、ヨット、水上オートバイなどの総トン数20トン未満の小型船舶隻数は、ここ数年2〜4%の伸びを示している。内訳としては、ヨットは隻数が減少傾向にあるが、モーターボートは景気低迷にもかかわらず、小型ボートを中心に増加傾向にある。また、最近では手軽に楽しめる水上オートバイの急増が顕著である。10年度末現在、ヨットは32千隻、モーターボートは319千隻、水上オートバイは100千隻となっている。(社)日本舟艇工業会によると、10年度実績で出荷されるモーターボートのほとんどがFRP船(ガラス繊維強化プラスティック船)で占めており、艇長では2mから8mクラスの小型軽量のボートが人気を集めており、平成10年度の国内向け出荷数の7割強を占めている。

【小型船舶の免許受有者の状況】(図4図5参照
 小型船舶を操縦するうえで必要となる免許は、1級から4級に分かれており、10年度末現在の免許受有者数は279万人であり、ここ数年では年3.5%前後の伸びを示している。このうち4級免許受有者は211万人であり全体の3/4を占めており、ここ数年4%強の伸びを示している。
 また、本年5月に新たに5級免許が創設されたが、これは、夏の海辺でよく見かける小型モーターボートや水上オートバイなどを操縦する場合、海岸から遠く離れる必要がなく、また海図の利用や、航行計画を必要としない使い方をするため、湖川または海岸から1海里(約1.8km)までの航行に限ったうえで、試験の内容も実態に即して簡素化を図ったものである。合格者の実績もすでに5月20日から6月末日までの間に1,556名となっている。

【マリーナ・ボートパーク等の整備状況】
 現在マリーナ等の既存の小型船舶を保管する施設の収容可能隻数は、約64,000隻であり、そのうちの3割弱の収容余力がある(平成8年の「プレジャーボート全国実態調査」による)。
 港湾整備事業の一環として、公共マリーナ(11年度14箇所実施中)、水路等の静穏水域を活用した簡易な係留施設であるボートパーク(11年度10箇所実施中)等の整備を行っているほか、係留・保管能力の向上のため、民間マリーナの整備についての支援を行っている。