国土交通省平成14年度税制改正要望主要事項の要点 →詳細へ
I 都市再生と個性ある地域の形成のための税制 国民・民間の広範な参画を促しつつ、都市再生と個性ある地域の形成を行うとともに、その前提として土地の流動化・有効利用の促進、都市機能を支える交通網整備等を行う。このため、以下の税制を要望する。
1. 土地の流動化・有効利用の促進
バブル崩壊後の地価の継続的な下落、土地の資産としての有利性喪失 ↓ 土地政策の転換:「地価抑制」から「土地の有効利用」へ バブル対策、「土地神話」を前提とした土地税制の抜本的見直し
不動産市場における流動化阻害要因の除去、不動産証券化の推進○
土地の流動化・有効利用のための安定的な土地税制の構築 <流通課税>(登録免許税、不動産取得税) 土地・建物に係る流通課税の手数料化等も含めた抜本的見直し <保有課税>(特別土地保有税) 特別土地保有税の廃止又は課税停止 <譲渡課税>(所得税、法人税、住民税) 株式譲渡益課税の方向も踏まえつつ、市場中立的な税体系の構築 ○
不動産証券化商品に係る個人の譲渡益課税・配当課税等の軽減
・ 不動産市場活性化のためには、約1400兆円に上る個人金融資産を不動産市場に振り向ける必要 ・ 株式課税との較差は円滑な不動産ファンドの立ち上げを阻害 ↓ 株式課税の抜本的見直しに合わせ、不動産証券化商品に係る課税を軽減
2. 民間による都市再生の推進 ○
民間の都市への投資を促進するための事業所税等関係税制の見直し <事業所税の見直し>
我が国の経済構造改革を進めるため、民間の都市への投資を促進し、地域経済を活性化することが必要 ↓
民間都市開発にとって特別の税負担となっている事業所税の見直し
事業所税
税率等
: 新増設事業所 家屋の床面積 6000円/m2 免税点2000m2 既設の事業所 資産割 家屋の床面積 600円/m2 免税点1000m2 従業者割 給与総額 0.25/100 免税点100人 <事業用地適正化計画関係税制の拡充・延長>
・ バブル期を通じて虫食い地等の低未利用地が大量に発生 ・ 木造密集市街地が今なお多く存在 ↓
・ 事業面積要件(現行500u)延べ床面積要件(現行1000u)の緩和等 3. 都市機能を支える交通体系の整備 ○
新幹線の特別大規模改修工事に係る準備金制度の創設
新幹線鉄道:大都市圏や中核都市を結ぶ我が国の中核的な幹線交通機関
→ 老朽化(東海道新幹線は開業以来37年) ↓
新幹線施設の大規模改修(列車の運行は継続)
→ 膨大な費用 ←→ 改修時に運賃・料金を大幅値上げすることは将来の利用者に過大な負担 ↓
準備金制度を創設し、大規模改修工事に要する財源を内部に留保 【法人税:準備金として積み立てた金額を損金算入】
→ 利用者負担の平準化 4. 個性ある地域の形成 ○
三島会社(JR北海道、四国及び九州)及びJR貨物の固定資産に係る特例措置の延長等 <現行制度>
三島特例 : 三島会社の所有又は借受資産に係る固定資産税等の課税標準を1/2 承継特例 : 三島・貨物会社が国鉄から承継した資産に係る固定資産税等の課税標準を1/2
(承継した資産のうち三島特例の対象となるものについてはさらに1/2)
JR三島会社・貨物会社を巡る厳しい経営環境
・ 景気の低迷、高速道路等の急速な整備に伴う競争の激化等による輸送人員・トン数の減少・伸び悩み、運賃収入の減少 ・ 低金利の長期化による経営安定基金の運用益の減少 等 ↓
三島特例・承継特例の延長等
→ 国土の均衡ある発展、地域住民の交通の確保 環境に優しい物流ネットワークの確保 ○
その他、離島の特性を活かした産業の育成と観光の振興を一層深め、若者の就業の確保、所得水準の向上を図り、人口の定着と国土の均衡ある発展を図るため、離島振興対策実施地域に係る特例措置の適用期限を延長する。 5. 民間による施設整備の推進 ○
PFI法に基づく公共荷捌き施設等の整備に係る特例措置の拡充等 <現行制度> PFI法の選定事業により取得した特定用途港湾施設に係る特例措置 :固定資産税:課税標準1/2[コンテナ貨物の荷さばき施設が対象]
効率的・効果的な社会資本整備の推進 ←→ 厳しいPFI事業の採算 ↓
・ 適用期限の延長 ・ 対象施設の追加(管理棟等) ・ 不動産取得税等の特例措置の創設
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○
その他、民活法の特定施設に係る特例措置の拡充(港湾において整備される「廃棄物等の減量・無害化施設」の追加)及び延長(不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税、事業所税)。
II 住宅対策の推進のための税制
○
住宅の買換えの場合の譲渡損失に係る繰戻還付制度の創設
バブル期に住宅を取得した者: 多額の譲渡損失(平成3年築のマンションの場合 平均約2700万円)を抱えたまま住替えの時期を迎える(住替え期間 平均10.6年) ↓
住宅の買換えに伴い発生した譲渡損失について現在の繰越控除(3年間)に加え、前年度の納税額を繰戻し還付できる制度を創設
→ 初期負担の軽減、円滑な住替えの促進
○
マンション建替え事業に係る税制上の特例措置
・ 老朽化したマンションの急増
(築後30年経過分譲マンション約12万戸→10年後 約93万戸)・ 建替え団体の位置付け、円滑な権利移行ルールの明確化が必要 ↓
マンション建替組合(仮称)の活動や建替えに伴う権利の移行、転出者に係る税の特例を創設 ○
その他、新築住宅等に対する固定資産税の減額措置(3年間1/2 中高層耐火 5年間1/2)の延長
III グローバル化の進展に対応した円滑な人の交流と競争力ある物流の実現のための税制
○ 航空機 ○ 国際船舶 ○ 倉庫用建物 ○ トラック等
特例制度の延長 特例制度の延長 特例制度の延長・拡充 特例制度の延長 法人税:特別償却制度
8%等
等登録免許税:1/1000
固定資産税:1/15法人税:割増償却制度
5年16%
等法人税:特別償却30%
又は税額控除7%
(中小企業投資促進税制)
→
グローバル化の進展に対応した円滑な人の交流と競争力ある物流を実現
○ その他、外貿コンテナ埠頭に係る特例措置(固定資産税等の課税標準を1/3等)の延長
IV 環境にやさしい社会の実現のための税制
○ 低燃費車等に対する自動車取得税に係る特例措置の延長及び拡充
・ 低燃費車(※)取得の特例措置(課税標準について取得価額から30万円を控除)の適用期限の延長
※対象低燃費車:改正省エネ法に基づく燃費基準を上回り、かつ、排出ガスが最新規制値の3/4以下・ 最新排出ガス規制適合車の早期購入時の特例措置(税率1.0%軽減等)の対象に平成15年規制適合車(※※)を追加
※※平成15年規制適合車:ディーゼル中量車、ディーゼル重量車・ 自動車NOx・PM法の基準不適合車から適合車への代替時の特例措置等(税率2.3%軽減等)の対象(現行はトラック・バスのみ)にディーゼル乗用車を追加
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地球温暖化対策及び地域環境対策を促進
○ 地球温暖化の防止、ヒートアイランド現象の緩和等のため、都市の中心部の建築物の屋上、空地等における認定緑化施設について、特別償却制度を創設する。
V 高齢社会を迎えすべての人が安心して暮らせる環境づくりのための税制
○ 交通バリアフリー設備の特別償却制度等の延長 ・ 鉄道駅
(エレベーター等)・ 低床型路面電車 ・ノンステップ
バス等・スロープ付き
タクシー等
法人税:特別償却制度15%
固定資産税:課税標準5年2/3 等特別償却制度20%
課税標準5年1/4特別償却制度20% 特別償却制度20%
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鉄道駅、路面電車、バス及びタクシーの高齢者・障害者対応化を促進
○ 建築物のバリアフリー化推進のため、デパート、劇場、ホテル、事務所等の多数の者が利用する建築物について、高齢者・障害者対応化に係る特例措置の拡充等を行う。
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