国土交通省
 平成15年度国土交通省税制改正主要項目結果概要
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1.都市の再生と個性ある地域の形成のための税制

  1. 土地の流動化・有効利用の促進
    1土地・建物に係る流通課税(登録免許税・不動産取得税)の大幅な負担軽減

     資産デフレを解消し、都市再生等土地の有効利用を強力に推進する観点から、土地・建物に係る流通課税について、思い切った軽減措置を講ずる。

    • 登録免許税(国税)
       恒久措置として全般的に税率を大幅に引き下げる。また、資産デフレ等に対処するための緊急措置として、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間は、さらに税率を恒久措置の1/2とする。

      売買等による所有権の移転登記
      ※土地についての課税標準の特例(1/3)は廃止。

    • 不動産取得税(都道府県税)
       非住宅用の土地・建物について、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間、税率を4%から3%に引き下げるとともに、土地についての課税標準の特例(1/2)を3年間延長する。

      課税標準の特例と税率
      (参考)土地・建物に係る流通課税の税収(平成12年度)
              登録免許税   5,949億円
              不動産取得税 5,667億円

    2特別土地保有税の課税停止

     土地神話の崩壊、土地市場の構造変化等を踏まえ、土地の流動化・有効利用を促進する観点から、平成15年度以降、当分の間、特別土地保有税の課税を停止する。

    (参考)
      特別土地保有税の税収(平成12年度) 425億円

    3不動産証券化促進のための特例措置の延長・拡充等(Jリートについて、株式とイコールフッティングをとった税制改革)

     1400兆円にのぼる個人金融資産を不動産市場に一層呼び込むため、Jリートについて、

    • 個人配当課税の申告不要の上限撤廃(現行:年間10万円以下)
    • 源泉徴収の税率を5年間10%(基本税率20%)
     を始め、Jリートについて、株式とイコールフッティングをとった税制改革を行う。

  2. 民間による都市再生の推進
    1都市再生促進税制の創設

     都市再生緊急整備地域において、国土交通大臣が認定する民間都市再生事業を強力に促進するため、認定事業者に対して、次のような思い切った税制上の特例措置を創設する。

    • 所得税・法人税:割増償却(5年間割増償却率50%)
    • 登録免許税:移転登記7/1000(当初2年間5/1000)
    • 不動産取得税:課税標準1/5控除(土地・建物)
    • 固定資産税・都市計画税:課税標準5年間1/2控除(公共施設及び一定の都市利便施設の用に供する家屋、償却資産(駐車場、自由通路等))
    • 特別土地保有税:非課税            等
     認定事業のために土地等を譲渡した地権者にも同様に、大幅な軽減措置を創設する。

    2新増設に係る事業所税の廃止

     新増設に係る事業所税について、平成15年3月31日をもって廃止する。

     新増設に係る事業所税は、人口30万人以上等の都市において、建築主に課されるものであり、民間建築投資に抑制的に働くもの。このため、都市再生等の観点から、廃止する。

    (参考)
      新増設に係る事業所税の税収(平成12年度)  346億円

    事業所税の税率の推移

    3大阪湾ベイ、業務核都市及び振興拠点地域に係る特例措置の延長及び拡充

     大阪湾ベイエリア、業務核都市及び振興拠点地域の中核的施設の整備に係る特例措置を延長するとともに、特別土地保有税の非課税措置に係る第3セクター要件を撤廃する。 (法人税、特別土地保有税、事業所税)

  3. 都市機能を支える交通体系の整備

     駅の乗継円滑化のための大規模改良工事により取得した鉄道施設に係る特例措置の延長及び拡充

    • 【延長】
       固定資産税・都市計画税:課税標準2/3(5年間)
    • 【拡充】
       ICカード乗車券の相互利用化に係る設備を追加:課税標準3/4(5年間)

     都市鉄道のネットワーク化及び乗継利便向上等を図るため、相互直通化等の乗継円滑化のための大規模改良工事により取得した鉄道施設に係る特例措置(課税標準2/3(5年間))の適用期限を延長するとともに、ICカード乗車券の相互利用化に係る設備を特例措置の対象施設に追加する。

    税制特例措置により相互接続方式からセンター方式へ誘導

  4. 個性ある地域の形成
    1離島振興対策実施地域に係る特例措置の延長及び拡充

    【延長】

    • 所得税・法人税:製造業、旅館業の用に供する設備に係る特別償却機械・装置 11/100
                建物・附属設備 7/100
    • 特別土地保有税:非課税(工場用建物、宿泊施設、集会施設又は スポーツ施設の敷地)
    【拡充】
    • 所得税・法人税:特別償却の対象として、地域特産物販売施設を追加
    • 特別土地保有税:非課税の対象として、農林水産業体験施設・物販施設の敷地を追加

     離島振興法の改正を踏まえ、離島の特性を生かした産業の振興や、観光等の振興を通じた地域間交流等を一層促進するため、離島振興対策実施地域に係る特例措置を延長・拡充。

    拡充施設のイメージ

    2九州新幹線の一部完成に伴う「新幹線特例」及び「三島特例」の拡充

    • 新幹線特例の対象に九州新幹線を追加
       :固定資産税:課税標準 当初5年間1/6 その後5年間1/3
    • 三島特例の対象に新幹線鉄道を追加
       :固定資産税・都市計画税:課税標準1/2(連乗)

     九州新幹線の一部完成(平成15年末:新八代〜西鹿児島間完成予定)を控え、九州新幹線に係る以下の特例措置を講ずる。

    • 新幹線特例の拡充
       新幹線鉄道に係る特例措置の対象に九州新幹線を追加する。
    • 三島特例の拡充
       JR三島会社(JR北海道、JR四国及びJR九州)の固定資産に係る特例措置(課税標準1/2)の対象に日本鉄道建設公団から借り受ける新幹線鉄道(九州新幹線)を追加するとともに、新幹線特例と連乗することとする。

    九州新幹線(鹿児島ルート)概要図

  5. 民間による施設整備の推進
     PFI法に基づき実施される公共荷捌き施設等の整備に係る特例措置の拡充
    • 不動産取得税:課税標準1/2

     効率的かつ効果的な社会資本整備を推進するため、PFI法の選定事業により取得した特定用途港湾施設に係る特例措置を拡充する。

    • PFIによる公共荷捌き施設整備概念図

      PFIによる公共荷捌き施設整備概念図

    • 北九州港ひびきコンテナターミナル完成予想図

      北九州港ひびきコンテナターミナル完成予想図

2.住宅対策の推進のための税制

1住宅取得資金の贈与に係る特例措置の拡充

住宅取得資金の贈与に係る課税制度について

2再生賃貸住宅供給促進税制の創設

 賃貸住宅ストックの中で特に不足している都市部におけるファミリー向け賃貸住宅や、高齢者向けの賃貸住宅の供給を促進するため、既存建築ストックを活用してファミリー向け又は高齢者向けの優良な賃貸住宅として再生し、供給する場合の改良工事費につき、10%の特別償却を認める。

3一度転出した後再居住した場合における住宅ローン減税の再適用

 住宅を取得して住宅ローン減税の適用を受けていた者が、転勤等やむを得ない事情により一時転出し、その後再び入居した場合に、住宅ローン減税の再適用を認める。

住宅ローン減税の再適用

4マンション建替事業に係る特例措置の拡充

 老朽化したマンションの円滑な建替えを推進するため、建替組合に対し買取請求を行った者の土地等が買い取られる場合等について、マンション建替事業に係る特例措置を拡充する。

3.環境にやさしい社会の実現のための税制

  • 自動車税の重軽課によるグリーン化の延長及び拡充(自動車税)
  • 低公害車・低燃費車に係る特例措置の延長及び拡充(自動車取得税)
  • 電気自動車等の燃料等供給設備に係る特例措置の延長及び拡充(固定資産税、特別土地保有税)

      【ポイント】
    • 環境対策を推進する観点から、ガソリン車については、優遇措置の対象を真に環境にやさしい車(☆☆☆かつ低燃費車)に重点化させるとともに、環境にやさしいLPG自動車を優遇対象に追加
    • ディーゼル車の排ガス対策を推進する観点から、環境にやさしいディーゼル車(黒煙の排出量が極めて少ない「低PM(粒子状物質)認定ディーゼル車」)について、自動車取得税の税率を1.5%軽減する優遇措置を創設
    • 排出ガスを出さない究極の低公害車である燃料電池自動車を普及させるため、燃料電池自動車について低公害車の扱いとするとともに、燃料電池自動車用の水素スタンドの土地・設備について、固定資産税の課税標準を3年間2/3にする優遇措置等を創設
     

    〔現行制度の改正概要〕

    現行制度の改正概要

    〔低排出ガス認定車〕
     最新排出ガス規制値からみた有害物質(窒素酸化物、粒子状物質、炭化水素等)の低減レベルに応じ、☆☆☆(75%低減)、☆☆(50%低減)、☆(25%低減)の認定をし、ステッカーの貼付による表示を行っている。 低排出ガス車ステッカー
     

    〔拡充措置の具体的内容〕

    4.観光振興のための税制

     外客来訪促進地域の宿泊拠点地区において登録ホテル・旅館が整備する一定の設備等に係る特例措置の延長

     外国人観光旅客の地方圏への来訪を促進するため、外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律において規定される外客来訪促進地域の宿泊拠点地区における政府登録ホテル・旅館の外国人観光旅客の利用に資する設備・施設に係る特例措置の適用期限を延長する。

    5.グローバル化の進展に対応した競争力ある物流等の実現のための税制

    1船舶等の特別償却制度の延長

     我が国海運の国際競争力を確保するとともに、効率的かつ安全な輸送サービスを提供するため、船舶及び船員訓練設備の特例措置の適用期限を延長する。

    (例)船舶特別償却制度を活用して整備する外航近代化船

    2中部国際空港における物流効率化のための総合保税地域被許可要件の緩和

     中部国際空港株式会社が総合保税地域被許可者となり得るように要件を緩和
     (一の地方公共団体の出資比率が1/10以上 ⇒ 3/100以上)

    総合保税地域被許可用件の緩和

    (注)

    3建設産業、交通産業等の再編促進等のための特例措置の延長及び拡充

     建設産業、交通産業等の再生、再編を図るため、産業活力再生特別措置法に基づく特例措置を延長及び拡充(法人税、不動産取得税等)

    4軽油引取税に係る運輸事業振興助成交付金制度の5年間延長

    運輸事業振興助成交付金制度
     都道府県から都道府県トラック協会・バス協会等に対し交付され、安全運行の確保、輸送サービスの改善のための以下の事業を行うもの。

    6.道路整備推進のための税制

    道路特定財源諸税に係る暫定税率の適用期限の5年間延長

     受益者負担の考え方に基づく道路特定財源制度を活用して道路整備を推進するため、道路特定財源諸税(揮発油税、地方道路税、石油ガス税、自動車重量税、自動車取得税、軽油引取税)の全額を道路整備に充当し、暫定税率を5年間延長する。
     なお、自動車重量譲与税の譲与割合を3分の1(現行4分の1)に引き上げる。

    道路特定財源諸税一覧

    (参考)
     道路特定財源制度は、受益者である自動車利用者が道路整備の費用を負担する制度であり、道路特定財源諸税は必要な道路整備費を賄うために創設、拡充されてきた税である。

    受益と負担の関係

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