5 公共施設の整備と一体となった景観の形成

 まちにおける良好な景観は、景観形成に配慮した公共施設の整備と建築物とが一体となって、はじめて形成されるものである。このため、良好な景観を形成することは、物質的豊かさから精神的豊かさを重視する方向へ国民の意識が変化し、ライフスタイルや価値観の多様化が進む中で、地域の主体性・自主性を最大限尊重しつつ、地域固有の歴史や伝統に立脚したまちづくりの重要な達成目標の一つである。建設省においては、地方公共団体が景観に配慮したまちづくりを実施するための事業を推進する補助制度を充実させ、地方公共団体の活動を支援している。
 市町村アンケートをみても、良好な景観の形成に必要性を感じていながらも、「財政的にゆとりがないため、取組みが後回しになってしまう」「財源不足である」とする回答が多く、今後とも魅力ある景観の保存保全に関する地方公共団体の自主的な取組みに対して支援を行うことが必要となってくる。
 これらの良好な景観を形成するための事業の実施と併せて地区計画等を決定することなどの規制誘導策により、地域のアイデンティティとして誇れるような景観を実現していくことが必要である。