(13)建設産業の海外展開に向けた施策

 我が国の建設産業は、長年にわたって、優れた技術力、施工能力等により世界各国の社会資本整備に貢献するとともに、「顔の見える援助」の担い手として我が国の国際協力の一翼を担ってきたところである。
 建設省では、建設産業の海外展開を支援するため、公正で開かれた海外建設市場の形成、海外展開の円滑化等を目指して、WTO、OECD、APEC、アジア太平洋地域建設担当閣僚会議等の多国間会議、日米、日韓、日EU等の二国間会議において、市場アクセス問題、内国民待遇問題、投資保護問題及び基準・適合性問題等の協議、規制緩和対話等を実施しているところである。
 また、平成7年には、建設産業関係の有識者とともに「建設業及び建設コンサルタントの海外活動に係る基本問題委員会」を設け、中長期的な海外活動の方針及び国際貢献のあり方について報告書をとりまとめ、海外調査、現地駐在員の意見等も踏まえつつ、報告書のフォローを行ってきたところである。
 具体的には、建設産業に期待される国際貢献の役割を支援するため、開発途上国等の建設産業の育成を図る「建設産業ノウハウ移転促進事業」によるセミナーの実施、開発途上国の現地社会に貢献するシンボリックな事業を支援する「建設業国際貢献推進事業」などを積極的に推進しているところである。
 その他、民活インフラ事業が注目されていることから、「官民役割分担に関するBOTガイドライン」の策定及び同ガイドラインを活用しての開発途上国等との政策対話、我が国建設業の国際競争力強化に向けて、交渉・クレーム処理能力の向上を図るための調査・研究の推進といった施策を実施している。
 平成11年7月に策定した「建設産業再生プログラム」においては、海外建設市場を戦略的重要性を持つ分野と位置付け、行政による環境整備課題として海外建設市場への展開の円滑化の促進を行う必要があることを示したところである。
 平成12年4月には、「建設産業再生プログラム」も踏まえ、21世紀に向けた建設業及び行政の取組みの方向性の検討を行うために、建設業関係の有識者からなる「建設業の海外展開のあり方に関する研究会」を設置し、検討を進めているところである。