第I部 地域の活力向上に資する国土交通行政の展開 

2 地域の活力を支える交通・物流施策の推進

(都市・地域における総合交通戦略の推進等)
 地方公共団体や公共交通事業者等の関係者が一丸となった「都市・地域総合交通戦略」の策定を支援するとともに、同戦略に基づき行われる次世代型路面電車システム(LRT)や高速輸送バスシステム(BRT)(注1)等の公共交通の導入促進・利用促進、交通結節点の改善、自転車・歩行者環境整備、モビリティマネジメント活動等の取組みを総合的に支援するほか、公設民営の考え方により、まちづくりとして行われる公共交通に関する事業に係る地方公共団体への支援を拡充するなど、都市交通施策の総合的な取組み等を推進する。
 特に、地域公共交通の活性化及び再生を総合的、一体的かつ効率的に推進するため、市町村、公共交通事業者等の地域の関係者の協議により作成された地域公共交通総合連携計画に基づく取組みに対して国が総合的に支援することにより、LRT、BRTの導入、オムニバスタウン(注2)の推進、乗り継ぎの改善、地方鉄道の再生、コミュニティバス(注3)や福祉タクシーの普及等を促進するほか、デュアル・モード・ビークル(DMV)や水陸両用車等、複数の運送事業に該当し、一貫した輸送サービスを提供する新地域旅客運送事業の導入促進、地域公共交通活性化・再生のための技術的助言等の情報提供の充実・強化を図ることとし、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案」を第166回国会に提出した。
 
図表I-3-2-3 総合的な交通連携のイメージ

 
図表I-3-2-4 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案の枠組み

地域公共交通の活性化及び再生を総合的、一体的かつ効率的に推進するため、地域の関係者の協議により作成された地域公共交通総合連携計画に基づく取り組みに対して、国が総合的に支援することにより、LRTの導入やコミュニティバスの普及を促進することなどを目的とした法律案である。

(都市鉄道ネットワークの充実・地方鉄道の活性化)
 都市鉄道ネットワークの充実を図るため、都市部において必要な鉄道新線の整備を引き続き進めていくほか、既存ストックを有効活用し、既存の都市鉄道施設の間を連絡する路線等の整備による速達性の向上や、周辺整備と一体的な駅整備による交通結節機能の高度化等を推進する。
 また、地方鉄道において、自治体・沿線立地企業・NPO等の創意工夫をいかした先進的な利用促進の取組みに対し支援を行うなど活性化を推進する。

(物流業者の3PL事業への進出支援)
 荷主から物流を一貫して請け負う高品質のサービスを行う3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)事業について、業務契約内容の明確化や環境配慮の促進に向けたガイドラインの策定・普及を図るとともに、交通インフラ周辺に高度なロジスティクス機能を有する物流拠点の設置を促進することにより、同事業への進出を支援する。

(都市内物流トータルプランの策定)
 共同配送の導入、共同荷さばき場の整備等を通じ、戦略的に都市内の物流を円滑化するための支援施策のメニューを体系的にまとめた「都市内物流トータルプラン」を策定して各地域の関係者に提示し、協議会の設立等を通じた地域ぐるみの取組みを集中的に支援する。


(注1)バスの定時性、速達性の確保のため、輸送力を向上させた高度なバスサービス
(注2)バスの有する多様(オムニ)な社会的意義(マイカーに比べて、人・まち・環境にやさしい)が発揮されることによって快適な交通、生活の実現を目指すまち
(注3)地域住民の多様なニーズにきめ細かに対応する地域密着型バス

 

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